7月からBS12で月・火の夕方放送中のテレビ「夢華録」が面白い。

今まで演劇の形式として「崑曲」や「京劇」など明・清のころの歌劇はある程度知っていましたが、このドラマの原作として、元代に隆盛をみた「元曲」を初めて知りました。「元曲」は、金末期~元初期(12~13世紀)に流行した雑劇*と散曲**からなる演劇です。

*雑劇:古典劇の形式の一つで元の時代になって音楽劇として完成(by広辞苑)

**散曲:元・明時代の歌曲。元曲の歌詞部分と同じ性質で、端唄・小唄の類(byブリタニカ)

 

「夢華録」は元曲四大家のひとり関漢卿(かんかんけい)の伎女を主人公にした『救風塵』を原作とし、宋時代の杭州を舞台にしています。杭州は大運河の起点として栄え、青磁器を産する龍泉窯(ex.砧青磁)や天目茶碗の産地天目山も控えていて、銘茶の産地でもあります(ex.龍井茶)。

主人公たち女性3人は茶坊を経営、登場する茶の銘柄・茶器の種類・お茶の淹れ方(葉茶か、挽いた茶か)・菓子など、時代と場所がよく考慮されていて、見落としがちな細部にまで行き届いている作りが魅力的です。ある回では9種類の銘茶器が並べられ、青磁やのぎめ天目(らしい)茶碗もあって、器大好きな私には堪りませんでした。

杭州は長江支流銭塘江のほとりですから運河が縦横に走っています。

『清明上河図』を参考にしたという水の都のセットも興味が尽きません。

 

衣装についての説明があります