韓流ドラマを多く放送しているCSチャンネルで見たのは

カチンコ「僕の特別な兄弟」 2018年 韓国 (日本公開は2022年)

 

脊髄に障がいのあるカン・セハ(シン・ハギュン)と、知的障がいがあって水泳のうまいパク・トング(イ・ガンス)は少年のときから施設「責任の家」で育ち、兄弟のような関係を築きます。

施設を運営していたパク神父が亡くなり、収容者は障がいの性質によって離れ離れに暮らすよう役所から勧告されます。なんとか一緒に暮らせるように役所に働きかけますが、決定を動かすことはできません。そこで、みんなで暮らす資金を稼ごうと、優勝賞金を狙ってトングが競技会に参加します。ゴール目前で立ち上がってしまったトング。全員で暮らすという願いは頓挫しますが、辛うじてセハとトングは一緒に暮らせるようになります。そこへ現れたのが20年音信不通だったトングの母親です。生活に困窮していた母親は、水泳が何より好きなトングをプールに置き去りにした過去がありました。トングの引き取りをめぐって裁判を起こし、勝訴したのが母親でした。

・・・・・なぜ再びセハとトングの生活が始まるのか、施設の介護の様子、遠足の日にセハが川に落ちたのはどういう事情があったのか、競技の途中でトングが立ち上がるのはなぜかなど、説明することができないトングの過去や心情が徐々に明かされてゆきます。

この映画は実話に基づいているそうです。

 

偽物めいたパク神父のうさん臭さとか、日本同様杓子定規なお役所仕事ぶり、施設の継続のためにセハが考えた詐欺すれすれのサイドビジネス、誠実さや善意は感じられるものの、トングの成長過程を見ていない母親(+新しい家族)の対応のずれ・・・などを、情感に訴えたりせずに、むしろ笑える場面などを挟んで思いのほかあっさりと描かれ、押し付けがましい感動作になっていませんでした。お薦めです。

 

少年時代を演じた子役が達者なうえに成人後のふたりによく似た雰囲気だったし、プールでアルバイトをしていてトングを指導することになるミヒョン(イ・ソム)の美しい泳ぎも見どころでした(本人?)。

韓国の演劇事情を知らないので、俳優は、かろうじてイ・ガンスというお名前だけは聞いたことがあるという程度です。

 

少年時代の部分