5月25、26日 札幌コンサートホール キタラ

 

ロビーコンサート

ミヨー:「弦楽四重奏曲 第1番」より 第1、第3楽章

ヴァイオリン:飯村真理 赤真さゆら

ヴィオラ:原香奈恵

チェロ:武田芽衣

 

武満徹:「地平線のドーリア~17の弦楽器奏者のための」

    「アステリズム~ピアノとオーケストラのための」*

ソリストアンコール

松村禎三:「ギリシャによせる二つの子守歌」よりⅠLento* 25日

武満徹:「遮られない休息」より 第3曲「愛の歌」* 26日

・・・・・・休憩・・・・・・

クセナキス:「ノモス・ガンマ」

ラヴェル:「ボレロ」

 

指揮:井上道義

ピアノ:北村朋幹*

コンサートマスター:田島高宏

 

ギリシャとの外交関係樹立125年を祝う「2024年日本・ギリシャ文化観光年」にちなんだ定期です。

武満作品には慣れていますが、今回は馴染みのない2曲です。

でも面白かった。とくに北村朋幹さんの演奏による「アステリズム」は素晴らしかった。シロフォン・マリンバ・ヴィブラフォン・グロッケンシュピール・チューブラベルにシンバル・銅鑼・タムタム・トムトム・カスタネット・テナードラムと多様な打楽器群とともに後半に膨れ上がる凄まじい音量が、すぅっとピアノに吸い込まれるように終わります。しばらくぶりに聴いた北村さんの格段の進化を感じました。

アンコールは、25日は臨席されたギリシャ大使ご夫妻へ捧げる意味もあったのでしょう、「ギリシャに寄せる二つの子守歌」から「レント」、初めて聴きました。

これがまた魂に触れる名演でした。26日は武満さんの「愛の歌」。

 

プログラム後半は楽器群が円形に配置されました。円形劇場の客席のそこここから聴こえるように配置したかったそうです。楽器こそ舞台上に纏まっていましたが、指揮者の意図するところは十分に伝わりました。

クセナキスでは一番外側に配された8人の打楽器奏者がかっこよかった!バスクラやコントラファゴットなども大活躍。低音と倍音が降るような感じはチベット仏教の音楽を思わせたし、鋭く空気をつんざいてあちこちから響く打楽器は(考えすぎかもしれませんが)クセナキスの経歴に影を落とすギリシャ軍事政権の砲声に聴こえてきました(こういう聴き方は邪道ですけど・・・)。また、建築家でもあるというクセナキスの数学的・構築的な音楽づくりが体感できました。

最後は「ボレロ」、やはり楽器をばらばらに配して円形の良さを発揮するようにしています。照明のプロを起用し、指揮者の照明プランにしたがって小太鼓からソロ奏者へ、クレッシェンドされるに従って次第に明るくなるようにした演出は成功でした。今日お隣に座った方は大感激。

日曜は、特別に「ボレロ」の出だしと最後の部分をつなぎ合わせた短いアンコールが演奏されました。

井上さんはやはり踊りたかったみたいです(「ボレロ」の時だけ赤い衣装を着ていました)。

 

 

「アステリズム」はこんな曲

ピアノ:ユージ・タカハシ 小澤征爾指揮トロント交響楽団

 

「ギリシャに寄せる二つの子守歌」 ピアノ:泊真美子