BS世界のドキュメンタリー
6日に続き7日、8日と連続で放送しました。
7日:「ガザに留学した医学生」原題:ERASMUS IN GAZA 2021年 スペイン制作
2022年 モンテカルロ・テレビフェスティバル:最優秀ドキュメンタリー賞受賞作
医療看護師を目指すイタリア人のリッカルドは最終論文を仕上げるために、EUのエラスムス計画を利用してガザのイスラーム大学を留学先に選びます。
日常的に戦闘が続くガザ地区で、当地の医者や医学生・救急医療従事者たちに温かく迎えられながらも、「天井のない監獄」と形容されるガザの現実に打ちのめされます。ーイスラーム大学は1978年設立のガザの高等教育機関ー
エラスムス計画とは、1987年からEUで始まった学生の交流・流動化を
目的とするプロジェクトです。当初はEU内だけが対象でしたが、対象地域を
ひろげました(途中でプロジェクト名が変わったりしていますが、この
ドキュメンタリーではエラスムスのままです)。
8日:「狙われる少年たち イスラエルの「抑止的」治安対策」
原題:two kids a day 2022年 イスラエル制作
2022年 エルサレム・フィルムフェスティバル:最優秀取材賞受賞作
2015年、ヨルダン川西岸地区で一人の少年がイスラエル兵に射殺されたことをきっかけに、葬儀の後少年たちの投石が始まります。治安当局は亡くなった少年の友人という理由だけで(年齢にかかわらず)、道端で遊んでいたり自宅にいた少年を有無を言わさず軍用車に載せて拘束します。(この場面では、かつて、ヨーロッパ各地で突然狩られて拘束されたユダヤ人の姿が浮かびました)
このドキュメンタリーは、軍事裁判所扱いで尋問を受ける少年たちの記録と当時の治安当局者へのインタビューで構成されています。
イスラエル側は、軍事裁判扱いにした理由や、少年を狙うことで効率的に占領地の抵抗運動を抑え、治安維持に役立ち、双方にとって利益であると主張。
最後に、成長した少年たちに拘束時の精神状態やその後どのように変わったかなどのインタビューもありました。
感想と付けたし:
これらのドキュメンタリーを見ると、やはり、イスラエル側がどのように弁明しようとも、互いに不信感だけが募るような彼らのパレスチナ政策は間違っていると私は思います。これについては、キブツにいた時にも論争したことがあります。しかし、
いかんせん語学力(英語もヘブライ語も)が不足していた私は論破されることに。
何しろ相手は議論大好きな連中ですからね、勝ち目は初めからほぼゼロです。
それでもめげないワタクシ、六日戦争(1967年)後の占領地をめぐるヘブライ語学校の旅行の感想文では、ほかの学生たち(世界中から来ているユダヤ人)の振る舞い*に憤慨して、(会話では勝てないので)“勝つということはこんな振る舞いをすることか”という論旨で書きました。
同行していなかった先生(ロシア出身)は恥を知れと大激怒、クラスで話し合いをしました。(通り一遍の反省文で済まさないところが彼ららしい)
*占領地では、打ち捨てられた家を荒らし、アラブ人を嘲笑し、精神的
寄りどころである残された美しい装飾クルアーンを踏みつけ・・・・
生活基盤を破壊しつくして二度と戻ってこられないようにする、まさに
今のイスラエルの基本姿勢を彷彿とさせるものでした。