入ってみたい建物

それは、ウンベルト・エーコの小説『薔薇の名前』に出てくるベネディクト会修道院の魅力的な迷宮にも似た文書館です。

映画でより具体的なイメージが得られたものの、階段でつながる入り組んだ構造、蔵書のおさめ方、写本の数々(中には豪華祈祷書や、羊皮紙に書かれ丸めた状態のものもあったに違いない)、書見台などを見て触れてみたい。

推理小説の体裁をとってはいますが、物語は衒学的ともいえる知識満載のつくりで、宗教史や美術史、とりわけ異端審問と禁書の知識で補完すればいっそう深く面白く読めます。

探偵役のベネディクト会修道士バスカヴィルのウィリアムがさしずめホームズで、貴族の息子ながら父の命をうけてメルク修道院の見習い僧になったアドソがワトソン役です。

この小説はアドソの遺した記録をみつけた“わたし”が翻訳したという設定です。

そして、かの有名な(悪名高き)異端審問官ベルナール・ギーも登場・・・・というわけで、中世の薄暗い修道院で起きる陰惨な連続殺人に絡めて、キリスト教各会派の微妙な違い、異端と禁書の関わりなどが描かれ、異端とは何かを考えさせられます。

だから、その舞台となった北イタリアのとある修道院の構造は、私にはとても魅力的にうつるのです。

 

14世紀、北イタリア山中のほの暗い修道院がイメージしやすい映画でした

 

 

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