「プラハのモーツァルト」 2016年 イギリス・チェコ合作
ウィーンでは人気に陰りが出ていたモーツアルト、「フィガロの結婚」が大評判となり、プラハに招待され、その歓迎ぶりに気をよくしたのは有名な話ですね。
「フィガロの結婚」の人気を反映して、プラハのエステート(スタヴォフスケ)劇場の依頼により作曲、初演されたのが「ドン・ジョヴァンニ」ですが、その顛末を、歌手との色恋沙汰や、恋敵の非道振りにフォーカスして(無理やりこじつけて)作られたのがこの映画ーと私は見ました。
元々舞台劇としてよく練られた戯曲(ピーター・シェイファー作)を映画化した「アマデウス」は、
”サリエリの視点”を軸に、今まで流布されてきたモーツアルトに関する噂をうまく取り入れ、しっかりした作りになっています。
この「プラハの・・・・」は、かつての成功にあやかるように”もうひとつの「アマデウス」”と喧伝されていますが、台本上の弱さは覆うべくもなく、話としては極めて退屈でした。
・・・・・・・・ちょっと寝てしまいました
ワタクシ的興味の的
1:エステート劇場として撮影に使われた(世界に二か所しかない)現役のバロック劇場(チェスキー・クルムロフ城内)の様子から、当時の歌劇場の構造が窺えること。
平土間のベンチ、それを囲む貴賓用のボックス席、舞台裏、場面転換のための装置などを、厳しいアングルから撮影しているので、まるで劇場にもぐりこんでいるかのような映像です。
2:モーツアルト役のアナイリン・バーナードが、コンスタンツェが一番本人に似ていると云った
”ヨーゼフ・ランゲが描いた肖像画”に近いこと(特に横顔)。
3:「ドン・ジョヴァンニ」序曲作曲時の写譜の様子。
演奏はプラハ市立フィルハーモニー管弦楽団。