帰宅した幼男子の表情は、疲れは見られるものの、比較的晴れやか。


ニコニコ「おかえり。本当に大変だったね」


ぼけー「午後の四教科試験は、本当にきついよ。

途中、頭がくらくらした。

ねえ、ママ。結果は、まだ見ていないよね」


あんぐり「もっ、もちろんだよ。

ママは、約束は守るタイプよ。

どうだったか、見てみてよ」


ポチッ。



笑い泣き「うわあ、やったあ。

ようやくようやく、合格したよ。

うち、本当に合格したんだあ」


喜びを爆発させる幼男子。


良かったね。

本当に、本当に、頑張った。


ほっこり「TOMASと早稲アカに連絡しなきゃ」


不安「えっ、いやあ。何度も連絡をするのも先生に迷惑だし、午後校の結果が出てから一緒に伝えた方が良いと思うよ」

言えやしない。言えやしないよ。

母がとっくに連絡済みで、一緒に泣きじゃくったり喜びを爆発させたなんて、とても言えやしないよ。



●午後校、合格発表


ぼけー「ここは、午前校に全集中したから、自信は無い。国語は簡単だったけれど、算数が結構捻った問題が多かった」



ぱっと艶やかな桜色の画面が目に飛び込む。

「おめでとうございます。◯◯コース合格です」


まさかの上のコースに合格。

◯◯コース、Y偏差値59。



ガーン「えっ、本当に。手応え無かったのに。

第二志望校の方が、よく出来たのに。

うち、午後校は本当に疲れていてさ。

でも入試だし、最後までしっかり解こう、と思って頑張った」


泣き笑い「本当に、すごいよ。よく頑張ったね。

今までの幼男子だったら、きっと昨日の段階で気持ちが折れていて、こんなに頑張れなかったと思う。

どうやって、気持ちを立て直したの」


真顔「昨日、絶対に合格している、と思っていた第二志望校が落ちていて、でも御守り校は合格していて。

その結果を見て、自分は行きたい、という気持ちが強すぎて空回りしているのかな、と思った。御守り校は、そこまで想いが強くないから合格出来たのかな、と。


今まで三年間も頑張って来て、これ以上合格を貰えなかったら、頑張って来た自分が可哀想だ、絶対にイヤだ、どうしたら良いだろう、と必死に考えた。


昨日、塾で早稲アカの先生に「空回りするなよ」と言われて、自分は気持ちが空回りしているかも、と思って。

「倍率が凄かった埼玉校に合格したのだから、実力は有る筈だ」と言われて、それでも第二志望校に落ちてしまったのは、やっぱり気持ちが強過ぎて、何かおかしい状態なのかも、って。


TOMASの先生から電話で、気持ちが途中で折れて、受験を途中でやめてしまった子の話と、5日まで頑張って、周りから無理だ、と思われていた学校に合格を頂いた子の話をされて。

実力は有るから、絶対に諦めないで、と言われてさ。


これでもうち、今まで無茶苦茶勉強して来たから、絶対に合格したいから、ssクラスでもボコボコにやられて来たから、もう負けたくない、諦めたら終わりだ、と思った。


だから今日は、力を抜こう、と思ってさ。

そうしたら、分からない問題が有っても、全然焦らなくて、冷静になったら面白い位解けた。

絶対に、この学校は合格したな。

これで駄目なら、もう仕方がない、と思った。


午後校は、国語は簡単な学校で、算数は捻っていたけれど、よく見たら熱望校の算数よりかは捻られていなくて。

だから、TOMASのグレートティーチャーとやって来た事を思い出しながら、解いてみた。

手応えは無かったけれど、解けていたんだ。


やったあ、うちサイコー」


模試の度に、緊張してケアレスミスを繰り返していた息子。

口を酸っぱくして、時間配分に気を付けろ、と言っても、国語も社会も最後まで終わらなかった処理能力の遅い息子。

君の受験は、本当に大変で紆余曲折だらけで、母は何度もやめたくなったけれど、君はようやく入試本番で、殻を破ったのだね。



君、サイコー。

明日、漸く我々母子のNN校に笑顔で向かえる。

長い長い受験生活の集大成に、サイコーの気分で挑戦できる。