緊張でパニックになり、模試で何度もやらかして来た幼男子。
朝の電車の中では、母に話しかけて来たり、社会の暗記チェックをしていたり、特に緊張している様子は見られない。
●2月1日午前(第二志望校、Y56、男子校)
「頑張っておいで。時間配分には、気を付けて」
我が子を送り出し、じっとしていられない母は、駅周辺をぶらぶらと歩き出す。
「この学校は、過去問も全て合格者平均点を超えていた。国語でやらかした年も、他の三教科で立て直していた。
いつも通り出来れば、大丈夫」
祈る様に何度も呟きながら、息子を待つ。
「国語が難しかったけれど、他の教科は出来たから受かっていると思う」
「良かったあ。午後入試まで時間が有るから、ご飯でも食べよう」
●2月1日午後(第4志望校、二科入試
Y58、共学)
駅周辺は、受験生で大混雑。
こちらは、我が家からは通いやすい学校で、良い意味でオーソドックスな落ち着いた雰囲気の共学校。
ただ、男子校で鉄研に入部したい、という幼男子の希望とは違う学校。
過去問の出来は、二科なので国語次第。
過去問の勝率は、大体50%
試験を終えた幼男子は、浮かない表情。
「国語が、あまり出来なかった。
合格したかどうかは、五分五分かも」
「でも試験を受けても、やっぱりうちは、遠くても第三志望校の方が良いな、と思った。
多分、第二志望校は合格しているから、大丈夫だよ」
午前校、いざ合否発表の時間。
結果……一瞬にして、灰色の画面に切り替わる。
「残念ながら不合格です」
「えっ、何で。出来たのに」
「大丈夫だよ。明日もあるから。
とにかく、寝なさい」
この日の夜遅くに発表される、午後校の合否を見たがる幼男子を説得し、寝かしつける。
午後校、いざ合否発表の時間。
結果……またもや灰色に切り替わる。
「残念ながら不合格です」
視界が、涙でぼやける。
すぐさま、TOMASに架電。
「先生、どうしたら良いでしょう」
「大丈夫。落ち着いて。
僕がみていた中で、あいつが一番頑張っていた。合格して欲しい子、筆頭です。
今日は、緊張で舞い上がったのかも知れません。明日は、きっと大丈夫だから。
絶対に、熱望校以外が合格出来ない筈は無いのです。今までも、ずっとはらはらさせる奴だったじゃないですか。
取り敢えず、当初の予定通り、すぐさま明日の午後入試のお守り校に出願して下さい」
早稲アカからは、幼男子の表情を見たいから、明日の受験が終わったら、塾に来るように言われる。
どうして、二校とも不合格だったのだろう。
このまま、どこにも合格を頂けなかったら、埼玉校に通うのだろうか。
毎日、あんなに遠くの学校に?
駄目だ、現実的じゃない。
出願手続きをしながら、涙が止まらない。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。