やってもやってもすぐに忘れ、全然点が取れない社会。

ほんの数ヶ月前には解けた問題が、解法から抜けている算数。

穴の空いたバケツに、必死に水を汲み入れているような気持ちになり、焦りと不安と虚しさが充満した11月。


決して地頭が良くない、もう大分記憶力の落ちたアラフォーの私が覚えられた事が、何故この子は覚えられないのだろう。

あれだけ苦労して覚えた歴史の知識が、何故こんなにすぐ忘れてしまうのだろう。


特性の有るこの子が、少しでも息のしやすい環境を求めて始めた中学受験だけれど、この子の貴重な小学校生活を費やして、私は何をしたかったのだろう。


こんなに頑張っているのに、全然結果が出ないなんて、本当に可哀想だな。

そりゃ、逃げ出したくもなるな。

それでも頑張っているこの子は、本当に不憫で本当に偉いな。


何としてでも熱望校に、いや、最早熱望校に届かなくても、この子が「頑張って良かった、学校が楽しい、気の合う友達に出会えた」と笑顔で通える学校に、通わせてやりたい。


そんな後悔と不安と、母の執念の渦巻く11月。

明日のテストも期待は出来ないけれど、嘆く暇が有れば社会のおさらいを。

穴だらけのバケツの穴を、一つずつ埋める作業を。


出来ないなりに、必死に頑張って来たから。

例え地頭が平凡でも、ひたむきな努力を母はずっと見てきたから。


大丈夫だよ。きっと大輪の花が咲くから。


息子に語りかけながら、誰よりも自分に言い聞かせる、不安ではち切れそうな11月。