先日の合不合の結果が悪く、校長から厳しいお言葉を賜った母子。
幼い息子も、ようやく厳しい現実を理解し、焦りだした様ですが、思った以上に落ち込んでいる少々、良薬の効き目が強すぎたようです。
ただでさえ、落ち込んでいる幼男子の傷口に塩を塗り込みやがったマダオ、その上体調不良まで重なり、満身創痍の幼男子。
実は、私は子供の頃に緊張をした事が有りません
大人になった今は、勿論しますよ、緊張。
ピアノの発表会では、皆に注目される状況に興奮し、練習よりも常に本番が一番上手く弾けていたタイプ。
中学受験の時も、流石に第一志望校の前日はドキドキしたものの、パニックになった記憶は無い。
なので、暗い顔をしてゴホゴホ咳の止まらぬ息子に聞いてみた。
「ねえ、ママはさあ。
模試の時に点数が高すぎて、君ほど優秀な子はなかなかいない、ダイヤモンドの原石を是非磨きあげたい。特待生として我が塾に。
いやいや、優秀な君は僕が自ら育て上げたい。さあ、一緒に頂点を目指そう。
なんて電話が、沢山掛かってきたらどうしよう。選べなーい。なんて妄想をして楽しくなったりしていたけれど、そういう妄想はしない?」
「えっ、全くない。その妄想は、わざとやっているの?いつも出来なかったら、どうしよう、とお腹が痛くなる」
「わざとやるのではなく、勝手に妄想が始まっていて、楽しくなってしまうみたいな。
実は昔、教習所に通う前も、運転に秘められた私の才能が開花して、君の様な人材は教習所始まって以来だ。是非、レーサーになってくれ、と頼まれたらどうしよう、とか本気で思っていたの」
運動神経が悪すぎて、4回も卒業試験に落ちた母。
補習は19時間にも及び、高速教習では窓を開けようとして、何故かウォッシャー液を窓に撒き散らせた母。
10年に2人くらいの逸材、と言われ、5回目の卒検にようやく合格した際には、5人の先生から握手をされ、極め付きは送迎のバスの運転手さんからも「本当に良かったなあ、君。無茶苦茶有名人やで」というお言葉を賜ったへっぽこ母。ある意味、伝説の女にはなったぜ。
勿論、以来車の運転はしていない。
幼男子の運痴は、母譲りさ。
「はっ、ママがレーサーにスカウト?
何で、そんな妄想が出来るの」
そんな珍獣を見るような顔で、母を見ないでおくれ、息子よ。
先日、夢の中でケンティーから
「サンキューセクシー、シンデレラ」
と囁かれ、涎を垂らしながら起床した事など、とても話せないではないか。
「いや、妄想をしても結局、現実は塾では万年真ん中のクラスだったし、教習所では何度も試験に落ちた訳だけれど。
せっかく頑張ったのに、緊張してしまって、本当は実力が有るのに出来ない、なんて勿体無いから、楽しい事を考えるのは、どうかなあ」
「そんなの出来たら、苦労しないよ」
ううむ。何て真面目なんだ。