澄み渡る秋晴れが、心地よく感じられる様になって来た今日この頃。
爽やかな秋風が頬を撫でる、澄み渡る休日の朝。事件は起こった。
洗顔を済ませ、Tシャツに着替えようとしたその瞬間。
大きな虫が、ブーンと凄い羽音を立て、私の首筋に、そして頬にピタッとしっかり止まった後、部屋の中に飛び立った。
「フンギャーアアァー!!!!!!!!!」
朝っぱらから、近所に響き渡る絶叫。
本当にこんな声が出た
キャーなんて、可愛い悲鳴とは無縁のアラフォー
見ると、でかいでかいカメムシが
どうやら、洗濯物を片付けた時にTシャツの奥に潜んでいたヤツに気付かず、Tシャツと共に仕舞い込んでしまっていたらしい

まさに、これ位の大きさのやつ
これが頬にピトッと来たら、絶叫しますよねえ
すんごい絶叫にも関わらず、隣のマダオ部屋のドアは固く閉じられたまま。階下にいる筈の幼男子も、まるで居ないかの様に、家の中はシーンと静まり返ったまま。
「いーんだ、いーんだ。
どうせ、自分で頑張らないと誰も助けてくれないもんね。お陰で私は、ハルク母さ」
勝手にヤサグレながら、壁に止まったカメムシに息を止めて近付き、ティッシュで捕獲。
トイレにダッシュして、そのまま流す。
ふー、頑張ったぜ私。
その途端、すんごい青臭い刺激臭が鼻をつく。
Tシャツから、そして首筋から頬から、鼻がもげそうな悪臭を放つ女。
「くっそー、このTシャツ気に入っていたのに。洗濯物干したばかりなのに」
Tシャツを脱ぎ捨て、洗濯機に放り込む。
再び洗顔をしようにも、己の指が臭すぎて、手を洗っても洗っても臭いが取れない
ここで母。己の不幸体験を聞いて貰わんと、階下に降り立つ。
「ねえ、さっきTシャツを着ようとしたら無茶苦茶デカいカメムシが中にいてさあ。
もう、手から顔から臭すぎる。最悪じゃー」
「えっ、それちゃんと始末出来た?
まだいたら、部屋に入れないよう」
※幼男子は凄い虫嫌いです。
蚊ですら殺せず、悲鳴を上げて逃げ惑う情けない奴の癖に、立派な厨二病患者で反抗期です
「このハルク母が始末したわい。
それよりも、無茶苦茶臭いの。
嗅いで嗅いで、ほりゃほりゃ。ウケケケ」
「うっわー、臭すぎる。まじで止めろよ。
因みに、レモンをつけるとコーラの匂いになるよ」
とても素直なハルク母。冷蔵庫からレモン汁を取り出し、指にダボダボ振りかける。
「本当だ。コーラの匂いになった。
あんた、天才やん」
吹けば飛ぶ羽毛よりも軽い、天才という言葉
「でしょ。誰かが言っていた」
首筋もレモン汁を浸したコットンで拭い、何とか悪臭を誤魔化したものの、レモン汁で顔を拭うのはハードルが高い。肌荒れが怖い。仕方なく、丁寧に洗顔をして臭いを誤魔化す。
ふと洗濯機の中を覗くと、洗濯機からもすんごい悪臭が
「くうう、カメムシの威力凄まじいわ。
そもそも、臭すぎて己も死ぬような悪臭、なんで放つねん」
ブツブツ言いながら、洗濯機をスイッチオン。
ワイドハイターも投入して洗った筈なのに、カメムシTシャツ、一回洗っただけでは無茶苦茶臭い
何なら、一緒に洗った他の洗濯物までほんのりカメムシ臭
「ううっ、最悪だわ。
こうなりゃ意地よ。自棄じゃ。
臭いが取れるまで洗っちゃる。駄目なら、カメムシTシャツは廃棄かあ。ううう」
結局、洗濯機を回すこと三回。
三回洗っても、まだ微かに漂うカメムシ臭。
あとは日光消毒で何とかなるだろう、と洗濯ループから何とか脱出。
「ああ、朝からゲンナリだわ。
ようやく終わった」
ベランダでカメムシTシャツを干していると、朝から干していた幼男子のタオルケットに、何と巨大な蛾様が鎮座しているのを発見。

「‥‥‥‥‥‥‥。これは下手に刺激したら、逆に突撃されて阿鼻叫喚だわ。どうにか蛾様のご機嫌を損ねずに、タオルケットを取り込まなくては」
細心の注意を払いながら、私はそっと物干し竿からタオルケットを滑らせる。
幸い蛾様はタオルケットから離れ、飛び立たれることなくベランダの壁にご安着。
落ち着き払って、動く気配がまるでない。
しかし、蛾様に移動をして頂かないと、怖くて他の洗濯物を干せぬ。
どうしたものかと思案していると、そこへぬっと現れた幼男子。
「えーい」
掛け声と共に、バケツの水を壁めがけてぶちまける。
水飛沫に驚いた蛾様は、バタバタと飛び立ち、我らを敵と見なされたか、こちらへ一直線に羽ばたいて来られる。
「わー、何するんや。ひぃー」
間一髪セーフ。何とか蛾様が室内に侵入される前に、急いでベランダの掃き出し窓をバタンと閉める。
「あはは。逃げて行って、良かったじゃん」
おーのーれー
自分は蚊一匹殺せぬ癖に、このハルク母が何とかするだろうと狼藉を働くとは。
この厨二病患者、もう許さん。
爽やかな秋風が頬を撫でる、空青く澄み渡る休日。
皆様がスポーツに、芸術にと充実された一日を満喫された中、私はカメムシの悪臭と蛾の鱗粉にまみれておりました。