東海林さだおさんの漫画入りエッセイ「平成元年のオードブル」中に、名作とされる作品「すわるおばさん」があります。
おばさんは電車に乗るとちょっとシートに隙間があれば座りたがるという、作者の鋭い?観察内容をユーモラスに描いた内容ですが、これは無論女性に限った事ではなく、加齢現象の一つとして年を取るとちょっとの時間でも立っているのがつらくなるものです。また中高年のみならず、現代人は子供を含め、皆長時間の立位が不得意になってきているのではないかと思います。しかしこれもまた過剰安静による健康障害のリスクをはらんでいる訳で、下記のような論文が出ています。
いずれにせよ「座りたいけど座らないというがまんや努力」も大事でしょうが、それ以前に「立っていても疲れない筋力や正しい立位、歩行の姿勢」を身につける事が大切ではないかと思います。
******************
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=43010&-lay=lay&-Find
淑女のみなさん、座ってるだけじゃ早死にしますよ
2014.1.16 , EurekAlert より:
米国の閉経後女性93,000人を対象にした調査で、座業中心時間が最も多かった群(睡眠を除く座業と休業時間)の女性は最も身体活動量の多かった群に比べてより早く死亡する割合が高かったと報告されている。コーネル大学の研究者による研究。
面白いことに、その他の交絡因子を検討して変数化した場合でも、定期的な身体活動を行っていても、座業中心になるようなアイドル・タイムが総生活時間に占める割合の高い人では、やはり早死リスクが高い事が明らかになっている。
1 日につき11時間を超える座業中心時間のある群では、最も活動的であった座業が4時間未満であったグループに比べて12%、全ての原因による総死亡率が高 い。前者の座業中心グループは、死亡率で循環器系疾患で13%、冠動脈疾患で27%、がんによる死亡率で21%の死亡リスク上昇が見られた。
座 業中心時間が多くても、身体活動時間が多く活動的であるならば病気による死亡リスクを低減できるだろうという前提の元に本研究は行われた。しかしながら実 際には、身体運動を如何に行っていようとも、座業中心時間が長いことそれ自体が疾患罹患率に影響する、ということのようである。つまり、座業は思いのほ か、健康維持にとっては悪玉であるようなのだ。
さらに悪いことには、座業中心時間が長いことは体力、すなわち筋力や身体機能を若い時の状 態のように取り戻すようなことをより難しくさせるようだ、とも報告されている。女性は35歳を境に筋力が低下する傾向が見られるが、その事が閉経を加速さ せるような側面もあるようだ。定期的な運動、とりわけ抗重量運動など筋力を維持するような運動であれば、閉経に伴う様々な身体への悪影響を低減させること ができるようだとし、意識的な運動に加えてより長い運動時間を保つことが健康の維持には重要である、と研究者は指摘した。
使わないものは 衰える、という一般原則を意識することは重要だ、と研究者は述べている。現代科学の進展によって物事が便利になり、身体活動を必要とせずにさまざまな物事 が行えるようになって来た反面、身体が楽をするようになってきてしまっており、より身体を意識的に動かしていく方策を見つけることがより重要になってきて いるのだ。
中年期、もしくはより若い時期から、身体活動習慣をつけていくことはとても大事である。少しずつの積み重ねが大きな違いを生む ことにつながるからだ。テレビ番組と番組の間にも積極的に立ち上がったり運動をしたりして、座業中心時間が長くなってしまわないように意識をすることが、 大きな違いを有無の可能性がある、と研究者はまとめた。
******************
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24439345
Am J Prev Med. 2014 Feb;46(2):122-35.
Sedentary Behavior and Mortality in Older Women: The Women's Health Initiative.
Seguin R, Buchner DM, et al
英文抄録:
BACKGROUND:
Although epidemiologic studies have shown associations between sedentary behavior and mortality, few have focused on older women with adequate minority representation and few have controlled for both physical activity and functional status.
PURPOSE:
The objective of this study was to determine the relationship between sedentary time and total; cardiovascular disease (CVD); coronary heart disease (CHD); and cancer mortality in a prospective, multiethnic cohort of postmenopausal women.
METHODS:
The study population included 92,234 women aged 50-79 years at baseline (1993-1998) who participated in the Women's Health Initiative Observational Study through September 2010. Self-reported sedentary time was assessed by questionnaire and examined in 4 categories (≤4, >4-8, ≥8-11, >11 hours). Mortality risks were examined using Cox proportional hazard models adjusting for confounders. Models were also stratified by age, race/ethnicity, body mass index, physical activity, physical function, and chronic disease to examine possible effect modification. Analyses were conducted in 2012-2013.
RESULTS:
The mean follow-up period was 12 years. Compared with women who reported the least sedentary time, women reporting the highest sedentary time had increased risk of all-cause mortality in the multivariate model (HR=1.12, 95% CI=1.05, 1.21). Results comparing the highest versus lowest categories for CVD, CHD, and cancer mortality were as follows: HR=1.13, 95% CI=0.99, 1.29; HR=1.27, 95% CI=1.04, 1.55; and HR=1.21, 95% CI=1.07, 1.37, respectively. For all mortality outcomes, there were significant linear tests for trend.
CONCLUSIONS:
There was a linear relationship between greater amounts of sedentary time and mortality risk after controlling for multiple potential confounders.
和訳:
座位時間の長さと、死亡リスクの関係を多民族の閉経後女性9万2千人の平均12年間の観察から解析した。自己申告の座位時間の影響は、他の交絡因子(体格、身体活動度、身体機能、合併疾患、年齢、民族)で補正して評価した。一日の座位時間11時間以上群は、4時間未満群にくらべ、全死亡(12%増)、脳血管死(13%増)、心臓死(27%増)、ガン死(21%増)、いずれも有意に増加していた。
**********************
おばさんは電車に乗るとちょっとシートに隙間があれば座りたがるという、作者の鋭い?観察内容をユーモラスに描いた内容ですが、これは無論女性に限った事ではなく、加齢現象の一つとして年を取るとちょっとの時間でも立っているのがつらくなるものです。また中高年のみならず、現代人は子供を含め、皆長時間の立位が不得意になってきているのではないかと思います。しかしこれもまた過剰安静による健康障害のリスクをはらんでいる訳で、下記のような論文が出ています。
いずれにせよ「座りたいけど座らないというがまんや努力」も大事でしょうが、それ以前に「立っていても疲れない筋力や正しい立位、歩行の姿勢」を身につける事が大切ではないかと思います。
******************
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=43010&-lay=lay&-Find
淑女のみなさん、座ってるだけじゃ早死にしますよ
2014.1.16 , EurekAlert より:
米国の閉経後女性93,000人を対象にした調査で、座業中心時間が最も多かった群(睡眠を除く座業と休業時間)の女性は最も身体活動量の多かった群に比べてより早く死亡する割合が高かったと報告されている。コーネル大学の研究者による研究。
面白いことに、その他の交絡因子を検討して変数化した場合でも、定期的な身体活動を行っていても、座業中心になるようなアイドル・タイムが総生活時間に占める割合の高い人では、やはり早死リスクが高い事が明らかになっている。
1 日につき11時間を超える座業中心時間のある群では、最も活動的であった座業が4時間未満であったグループに比べて12%、全ての原因による総死亡率が高 い。前者の座業中心グループは、死亡率で循環器系疾患で13%、冠動脈疾患で27%、がんによる死亡率で21%の死亡リスク上昇が見られた。
座 業中心時間が多くても、身体活動時間が多く活動的であるならば病気による死亡リスクを低減できるだろうという前提の元に本研究は行われた。しかしながら実 際には、身体運動を如何に行っていようとも、座業中心時間が長いことそれ自体が疾患罹患率に影響する、ということのようである。つまり、座業は思いのほ か、健康維持にとっては悪玉であるようなのだ。
さらに悪いことには、座業中心時間が長いことは体力、すなわち筋力や身体機能を若い時の状 態のように取り戻すようなことをより難しくさせるようだ、とも報告されている。女性は35歳を境に筋力が低下する傾向が見られるが、その事が閉経を加速さ せるような側面もあるようだ。定期的な運動、とりわけ抗重量運動など筋力を維持するような運動であれば、閉経に伴う様々な身体への悪影響を低減させること ができるようだとし、意識的な運動に加えてより長い運動時間を保つことが健康の維持には重要である、と研究者は指摘した。
使わないものは 衰える、という一般原則を意識することは重要だ、と研究者は述べている。現代科学の進展によって物事が便利になり、身体活動を必要とせずにさまざまな物事 が行えるようになって来た反面、身体が楽をするようになってきてしまっており、より身体を意識的に動かしていく方策を見つけることがより重要になってきて いるのだ。
中年期、もしくはより若い時期から、身体活動習慣をつけていくことはとても大事である。少しずつの積み重ねが大きな違いを生む ことにつながるからだ。テレビ番組と番組の間にも積極的に立ち上がったり運動をしたりして、座業中心時間が長くなってしまわないように意識をすることが、 大きな違いを有無の可能性がある、と研究者はまとめた。
******************
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24439345
Am J Prev Med. 2014 Feb;46(2):122-35.
Sedentary Behavior and Mortality in Older Women: The Women's Health Initiative.
Seguin R, Buchner DM, et al
英文抄録:
BACKGROUND:
Although epidemiologic studies have shown associations between sedentary behavior and mortality, few have focused on older women with adequate minority representation and few have controlled for both physical activity and functional status.
PURPOSE:
The objective of this study was to determine the relationship between sedentary time and total; cardiovascular disease (CVD); coronary heart disease (CHD); and cancer mortality in a prospective, multiethnic cohort of postmenopausal women.
METHODS:
The study population included 92,234 women aged 50-79 years at baseline (1993-1998) who participated in the Women's Health Initiative Observational Study through September 2010. Self-reported sedentary time was assessed by questionnaire and examined in 4 categories (≤4, >4-8, ≥8-11, >11 hours). Mortality risks were examined using Cox proportional hazard models adjusting for confounders. Models were also stratified by age, race/ethnicity, body mass index, physical activity, physical function, and chronic disease to examine possible effect modification. Analyses were conducted in 2012-2013.
RESULTS:
The mean follow-up period was 12 years. Compared with women who reported the least sedentary time, women reporting the highest sedentary time had increased risk of all-cause mortality in the multivariate model (HR=1.12, 95% CI=1.05, 1.21). Results comparing the highest versus lowest categories for CVD, CHD, and cancer mortality were as follows: HR=1.13, 95% CI=0.99, 1.29; HR=1.27, 95% CI=1.04, 1.55; and HR=1.21, 95% CI=1.07, 1.37, respectively. For all mortality outcomes, there were significant linear tests for trend.
CONCLUSIONS:
There was a linear relationship between greater amounts of sedentary time and mortality risk after controlling for multiple potential confounders.
和訳:
座位時間の長さと、死亡リスクの関係を多民族の閉経後女性9万2千人の平均12年間の観察から解析した。自己申告の座位時間の影響は、他の交絡因子(体格、身体活動度、身体機能、合併疾患、年齢、民族)で補正して評価した。一日の座位時間11時間以上群は、4時間未満群にくらべ、全死亡(12%増)、脳血管死(13%増)、心臓死(27%増)、ガン死(21%増)、いずれも有意に増加していた。
**********************