STECの活動も4/22で満2年を迎えましたが、この間の経験を通してこのごろつくづく思うのは「運動療法は続けさえすれば裏切らない」ということです。
運動するしないはup to you(あなた次第)であり、かのハムレットの有名な独白、" To be or not to be, that is the question. (このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ)なども思い浮かぶ所です。

さて、運動は幾つになってから始めても遅くないことは確立しており、また運動が脳の老化を防ぎ、認知能を維持する事も良く知られており、いずれもこのMLでもいろいろ紹介してきました。

下記の論文もこれも80歳代の高齢者700人での検討で、80台になっても運動が有効である事を示す結果です。

運動量あるいは運動強度順に対象者をグループ化すると、もっとも運動(量でも強度でも)が少ない群は、最も多い群に比して、アルツハイマー病発症のリスクが2.3~2.5倍高かく、これは身体条件/社会背景/観察開始時の認知能のレベル/運動機能/抑うつ感情の有無/慢性疾患の有無、あるいはアルツハイマー関連遺伝子の有無、などで補正しても、やはり運動の影響は有意だったと結論しています。

当然、80歳になるまでの運動習慣も、80になったときの認知能に影響するだろうと思います。



*********************
いくつになっても身体活動でアルツハイマーは予防可能 2012.4.19 , EurekAlert  より:

毎日の身体活動は、アルツハイマー病のリスクと認知能力の低下を減らし、それは80歳以上の人々にも有効だとするラッシュ大学医療センターの神経学研究者による新研究が『神経学』オンライン版に4月18日付で発表された。

平均年齢82歳の716名の高齢者を対象に、身体活動計を用いて全ての身体活動を電子的に10日間にわたって記録し、その後一年ごとに認知能力のテストを追跡調査した。平均3.5年間の追跡期間中に71人がアルツハイマー病に罹患した。

データを解析した結果、もっとも身体活動量の最も低い10%の人では最も高かった10%の人に比べて2.3倍アルツハイマー病になりやすかったことがわかったという。また最も活動強度の低かった10%の人はもっとも高かった10%の人の2.8倍発症リスクが高まった。

出典は『神経学 』。 (論文要旨