韓国はレミングの群れだ
もう、止められない「北朝鮮との心中」

https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226331/010700211/

鈴置高史(스즈 오키 타카 부미,Takabu-mi Suzu-oki)  2019年01月08日

 

韓国の「大本営発表」.

 12月28日の防衛省の動画公開で、韓国メディアはますます国防部の発表を疑うようになりました。

当初、韓国軍が主張していた「漁船の捜索のためのレーダー使用」が真っ赤な嘘だったことが判明したからです。
 自衛隊機が撮影した映像では、駆逐艦から目視できるところに漁船がいた。

ほぼ同時に自衛隊の哨戒機の機内で「照準された」ことを示す警報音が鳴り響いた。

「漁船を探すためにレーダーを照射していた」という説明は全くの絵空事だったのです。

 しかし韓国メディアにはこうした自国政府に対する疑惑――

[①なぜ、レーダー使用の目的を漁船捜索と偽ったのか

②なぜ、火器管制レーダーを含め全てのレーダーを使っていたとの説明を翻したのか

③なぜ、低空飛行した自衛隊機に無線を使わなかったのか]――を一切報じていません。

 韓国メディアが大書するのは「低空飛行で威嚇された韓国こそが被害者である」「一方的に画像を発表した日本が悪い」といった国防部の発表――"大本営発表"ばかりなのです。

 これでは国民が「傲慢な日本」と「弱腰の国防部」に怒り出すのも無理はありません。

青瓦台(大統領府)のサイトには「 レーダー映像公開…! 日本は同盟か…!主敵か…! 」(1月3日)という見出しの投稿が載りました。

骨子は以下です。

[-誇らしい大韓のイージス艦は今後、日本の哨戒機が接近したら直ちに撃墜すべきだ。

なぜなら(日本は)同盟国になることがない最悪の主敵だからだ。
-今、日本は軍事力を膨張させている。韓国が非核化を叫んでいる時か。

必ず、核武器と水爆を自ら開発、配備せねばならない時だ!]

 

こんな国民の声が青瓦台に届き、それへの反応も「いいね!」ばかりですから国防部も日本に強腰に出ざるを得ない。

1月2日に日本に謝罪を要求したうえ、4日には「反論映像」も公開しました。

 こうした国防部に対し、韓国メディアは会見で「なぜ半月後の今になって謝罪を要求したのか」と対応の鈍さを追及するに至った(1月3日)。事実の追求は放っておいて世論を煽り続けています。

 こんなメディアのいい加減な姿勢がレーダー照射問題をはじめ、内政、外交のありとあらゆる面で韓国を苦境に落とし込んでいるのです。

 

扇動に踊る韓国人.

なぜ、韓国メディアは国防部発表の不審な点を突かないのでしょうか

鈴置:韓国では「事実」よりも「主張」が大事なのです。このケースで言えば「日本の言い分が正しそうだな」と記者が思っても、そう書けば「売国新聞」と非難されてしまう。
 それなら徹底的に韓国の立場に立って報じ「不都合な真実」はネグってしまおうということになります。

 「無明」というペンネームを使う韓国人ブロガーがいます。

日本の自民党の内幕や日韓関係に極めて詳しいことから、日本を長らく担当した外交官OBと見られています

(『米韓同盟消滅』)第4章第2節「韓国人をやめ始めた韓国人」参照)。

 無明氏は「 日本の防衛省、韓国のレーダー照射問題に対する証拠動画公開2 」(12月29日、韓国語)で、韓国の世論形成のあり方に警鐘を鳴らしました。

ポイントを訳します。

[-火器管制レーダーの使用に関しても、最初はすべてのレーダーを使っていたと言い、後になって火器管制レーダーは使用しなかったと言葉を変え、さらに翌日には使ったが照準は当てなかったと嘘をつく。

これが今の国防部の言い訳だ。
-言葉を変え続けるのを信じるのなら、それはあなたが詐欺師に簡単にだまされる脳の構造を持っているとの証拠にほかならない。
-韓国人なら詐欺や嘘と知っていても無条件に韓国をかばう必要がある、などととんでもないことを言うのなら、あなたはナチ(Nazi)などと変わりのない人間のゴミだ
。]

 無明氏の韓国批判は常に激烈です。でも、この記事の激しさは格別です。

身びいきのあまり真実から目をそらしたい国民。

それに応じ、いい加減な情報しか流さないメディア。

こんな韓国社会に対する絶望感がこの記事を書かせたのでしょう。

 無明氏が1月4日に載せた「 韓国、レーザー照射問題に関する反駁動画公開 」(韓国語)という記事は以下の文章で結ばれています(編集部注:原文のまま掲載)。

[-朝鮮王朝が滅びた時がそうだったように、韓国の支配層が嘘を言い張ると、被支配層の韓国の豚どもは常に騙されてきた。

扇動しておけば365日、騙される韓国の豚どもに人間の知性はないのだ。]

 

 

無明

仏教用語で、無知のこと。真理に暗いことをいう。法性に対する言葉である。

この概念は、形而上学的な世界の性質、とりわけ世界が無常および無我であることの教義についての無知を指す 。

無明は苦の根源であり、最初の因縁の輪に結びつき、繰り返す転生の始まりとなる。

 

「無明」というブログの人 - 【韓国の反応】

http://oboega-01.blog.jp/archives/cat_1235383.html

 

人権蹂躙国家とスクラム.

韓国は「亡国の危機」ですか!.

鈴置:「世の中がよく見えている」韓国人は今、絶望に陥っています。
米国からは同盟を打ち切られそうになっている。
韓国が米国を裏切って北朝鮮の核武装に協力しているからです(「 『米韓同盟消滅』にようやく気づいた韓国人 」参照)。

 そこに起きたレーダー照射事件。日韓関係は悪化する一方で修復のメドがたちません。
左派政権の「反日」は「反米」の伏線です(「 『現場の嫌がらせ』では済まないレーダー事件 」参照)。
米国との同盟はさらに危くなるでしょう。

 問題は米国との関係に留まりません。
人権蹂躙国家の北朝鮮とスクラムを組んで、その核武装を幇助する文在寅政権の異様さが世界に知れ渡りました。
北朝鮮だけではなく韓国も「危ない国家」と認定され始めたのです(「 北朝鮮と心中する韓国 」参照)。

 周辺国家と世界はテロ国家たる北朝鮮の核兵器を全力で阻止するでしょうから、文在寅 政権の狙う「民族の核兵器」の実現は容易ではない(「 半島がまた、きな臭くなってきた 」参照)。

 仮に成功してもそれはあくまで北朝鮮の核兵器。韓国が核兵器を持つ北の支配下に入るのは確実です。
それに普通の韓国人が耐えられるとは思えません(『米韓同盟消滅』第1章第4節「『民族の核』に心躍らせる韓国」参照)。

 国が危機にあるというのに指導層は権力闘争に没頭する。
国民は政府やメディアに扇動され、「積幣清算」や「反日」に浮かれる。
国が奈落の底に堕ちて行くのに、見動きがとれないのです。
 
今回は「出口」なし.

韓国の混乱は収拾できない?.

鈴置:1960年に李承晩政権がデモで倒れた後の混乱は翌1961年、反共を掲げる軍人のクーデターにより収拾されました。
 私は1987年から5年間ソウルに住みましたが、当時を知る韓国人の中には「クーデターが起きなかったら韓国は北朝鮮に吸収されていた」と説明する人がかなりいました。
 クーデター自体には賛成しないが、北朝鮮の一部となるよりはましだった、というのです。
もちろん「あのクーデターによって成立した軍事政権が韓国の民主主義を破壊した」と言う人もいましたが。

今回はもう起きない……。

鈴置:……と、多くの韓国人が言います。
軍人もサラリーマン化して、もはやクーデターを起こす根性はない、との理由です。
今回は良かれ悪しかれ「出口」はないのです。

 自分たちを、集団自殺するとされるレミングに例える韓国人が出てきました。
その1人が趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムの金泌材(キム・ピルジェ)記者です。
 「 『レミング効果』に見る『韓国人の群衆心理』 」(2016年11月16日、韓国語)は「ろうそく集会」が始まった頃に書かれた記事です。

 書かれた時点では朴槿恵大統領が弾劾されることまで想像した人はあまりいませんでした。
それによる左派政権登場と、米韓同盟の危機を予想した人も少なかった。
 しかし金泌材記者は韓国人の扇動に弱い体質を指摘し、国が危くなると当時から警鐘を鳴らしていたのです。

韓国はどうなる?.

鈴置:この段階に至っては手遅れと思います。
北朝鮮との共闘路線を修正するのは難しい。そ
れが左派政権の存在理由なのですから(『米韓同盟消滅』第1章第1節「米韓同盟を壊した米朝首脳会談」参照)。

 それに米国や日本は「北朝鮮の使い走り」と見なして韓国に向き合うようになりました。
米国は今、韓国との「思いやり予算」交渉でいつになく強硬です。

 米国の専門家は在韓米軍の削減・撤収まで公言し始めました。
いざとなれば韓国との同盟をやめてもいいのだ、との合意が米政界に広がっているのです。

 「レーダー照射事件」で日本が韓国を徹底的に追い詰めているのも「韓国が仮想敵になりつつある」との認識があずかっています。

 韓国はもう、奈落の底に堕ちて行くだけと思います。


■トランプ大統領の韓国国会演説(2017年11月8日)のポイント(1)

北朝鮮の人権侵害を具体的に訴え

    10万人の北朝鮮人が強制収容所で強制労働させられており、そこでは拷問、飢餓、強姦、殺人が日常だ
    反逆罪とされた人の孫は9歳の時から10年間、刑務所に入れられている
    金正恩の過去の事績のたった1つを思い出せなかった学生は学校で殴られた
    外国人を誘拐し、北朝鮮のスパイに外国語を教えさせた
    神に祈ったり、宗教書を持つクリスチャンら宗教者は拘束、拷問され、しばしば処刑されている
    外国人との間の子供を妊娠した北朝鮮女性は堕胎を強要されるか、あるいは生んだ赤ん坊は殺されている。
中国人男性が父親の赤ん坊を取り上げられたある女性は「民族的に不純だから生かす価値がない」と言われた

北朝鮮の国際的な無法ぶりを例示

    米艦「プエブロ」の乗員を拿捕し、拷問(1968年1月)
    米軍のヘリコプターを繰り返し撃墜(場所は軍事境界線付近)
    米偵察機(EC121)を撃墜、31人の軍人を殺害(1969年4月)
    韓国を何度も襲撃し指導者の暗殺を図った(朴正煕大統領の暗殺を狙った青瓦台襲撃未遂事件は1968年1月)
    韓国の艦船を攻撃した(哨戒艦「天安」撃沈事件は2010年3月)
    米国人青年、ワームビア氏を拷問(同氏は2016年1月2日、北朝鮮出国の際に逮捕。2017年6月に昏睡状態で解放されたが、オハイオに帰郷して6日後に死亡)

「金正恩カルト体制」への批判

    北朝鮮は狂信的なカルト集団に支配された国である。
この軍事的なカルト集団の中核には、朝鮮半島を支配し韓国人を奴隷として扱う家父長的な保護者として指導者が統治することが宿命、との狂った信念がある
 
鈴置高史(스즈 오키 타카 부미,Takabu-mi Suzu-oki)
韓国観察者。
1954年(昭和29年)愛知県生まれ。
早稲田大学政治経済学部卒。
日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。
95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。
18年3月に退社。
著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。
2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。