韓国は猿芝居外交のあげく四面楚歌に
… 「文在寅」退任でも日韓関係は修復せず
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/01281200/?all=1
鈴置高史(스즈 오키 타카 부미,Takabu-mi Suzu-oki) 2022年01月28日
その場しのぎの外交に終始した文在寅(ムン・ジェイン)政権の5年間。
韓国はすっかり四面楚歌(be surrounded by enemies, 사면초가)に陥った。
次期政権がそこから脱するのは困難と韓国観察者の鈴置高史氏は見る。
核・ICBM実験を再開へ
鈴置:左派系紙、ハンギョレが文在寅 外交に引導を渡しました。
「 朝鮮半島和平プロセス、水泡(to come to naught, 수포로 돌아가다)に帰すか…文在寅 大統領にも『反転カード』なし 」(1月21日、日本語版)です。
以下、前文です。
[・北朝鮮が[1月]20日に核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を再開する可能性を示唆したことについて、大統領府はひとまず状況を「綿密に検討している」との慎重な反応を示している。
・しかし、文在寅 政権の成果として掲げてきた「朝鮮半島平和プロセス」が水泡に帰すのではないかと懸念する雰囲気も感じられる。]
「朝鮮半島平和プロセス」とは文在寅 政権の掲げた対北基本戦略で、韓国のみならず周辺国が北朝鮮に融和的に接することで核問題などを解決しよう、との構想です。
それが「水泡に帰す(to come to naught, 수포로 돌아가다)」――「文在寅 政権の対北政策が完全に失敗に終わった」というのですから、ただ事ではありません。
それも書いたのが政府系紙と揶揄されるハンギョレなのです。左派のショックが窺えます。
2018年6月の米朝首脳会談以来、北朝鮮は核・ICBMの実験はしなかった。
それらが再開されれば、北朝鮮と良好な関係を作ることで緊張を緩和する、という歴代左派政権の売りがまやかしだったことが露呈してしまうのです。
ことに今、大統領選挙を1か月半後の3月に控えています。
いずれの実験が再開されたら、されなくとも示唆だけで、保守派の政権獲得の追い風になります。
左派は「北朝鮮は我々を潰す気か」と大いに焦ったのです。
ウクライナで手一杯の米国.
――しかし、核とICBMの実験が中断されたのは、北朝鮮と首脳会談を開いたトランプ(Donald Trump)政権のおかげでしょう?.
鈴置:そうなのですが韓国では、文在寅 大統領が仕切って米朝首脳会談を実現した、と未だに信じられているのです。
2017年1月に発足したトランプ政権は、先制攻撃すると北朝鮮を脅す一方、水面下で首脳会談を探りました。
これに気付いた文在寅 政権は2018年3月、青瓦台(大統領府)の鄭義溶・国家安保室長(当時)を訪朝させ、金正恩(キム・ジョンウン)委員長から直接、「核放棄と米朝対話の意思」を確認したと発表。
また、「対話が続く間は追加の核・弾道ミサイル実験はしない」と北朝鮮が確約したとも公表しました。
鄭義溶,チョン・ウイヨン(정의용,Chung Eui-yong)
鄭義溶氏は返す刀で訪米し、トランプ大統領に「金正恩の意思」を示す親書を伝達。
トランプ大統領は直ちに鄭義溶氏に記者会見させて、米国の米朝首脳会談受諾の意思を表明しました。
米大統領の首脳会談を第三国が、それもホワイトハウスの車寄せで発表するという異例の事態でした。
その後、若干の紆余曲折はありましたが、同年6月にシンガポールで史上初の米朝首脳会談が実現したのです。
もっとも、2019年2月のハノイでの2回目の米朝首脳会談は物別れに終わりました。
金正恩委員長が核施設の完全な廃棄に応じなかったためです。
J・バイデン(Joe Biden)政権も、核開発を放棄するとは思えない北朝鮮との首脳会談に否定的で、交渉はこう着状態に陥っていました。
この間、北朝鮮は核・ミサイル実験には踏み切りませんでした。
再開すれば、2017年当時のように、米国から軍事的な圧迫を受ける可能性が高いと判断したのでしょう。
1月20日に両実験の再開を示唆したのは、ウクライナ問題でロシアと厳しく対立した以上、朝鮮半島では動きがとれないはず、と米国の足元を見た可能性が高い。
今なら朝鮮半島に軍事的な圧力を割く余力のない米国は北朝鮮の脅しに屈し、対話に出てくると踏んだと思われます。
1月18日にサウジアラビアを訪問した文在寅 大統領。もてなしを受け「我が韓国の格があがった」というが
●韓国歴代大統領の末路(1201修正).
①李承晩(SyngmanRhee,이승만) (1948年7月―1960年4月) |
不正選挙を批判され(resign from one's public post)、ハワイに亡命。 退陣要求のデモには警察が発砲、全国で183人死亡 |
②尹潽善(Yun Posun,윤보선) (1960年8月―1962年3月) |
軍部のクーデターによる政権掌握に抗議して下野(Retirement,resign from one's public post)。 議院内閣制の大統領で実権はなかった |
③朴正煕(Park Chung-hee,박정희) (1963年12月―1979年10月) |
腹心(trusted retainer)のKCIA部長により暗殺。 1974年には在日(Zainichi Korean)韓国人に短銃で撃たれ、夫人の陸英修(Yuk Young-soo,육영수)氏が殺される |
④崔圭夏(Che gyuha Kyu-ha, 최규하) (1979年12月―1980年8月) |
朴大統領暗殺に伴い、首相から大統領権限代行を経て大統領に。 軍の実権掌握で辞任 |
⑤全斗煥(Chun Doo-hwan,전두환) (1980年9月―1988年2月) |
退任後に親戚の不正を追及され隠遁生活。 遡及立法で光州事件(Gwangju Uprising,광주 사건)の責任など問われ死刑判決(後に恩赦) |
⑥盧泰愚(No Tae-woo,노태우) (1988年2月―1993年2月) |
退任後、全斗煥(Chun Doo-hwan,전두환)氏とともに遡及立法により光州事件の責任など問われ、懲役刑判決(後に恩赦) |
⑦金泳三(Kim Young-sam,김영삼) (1993年2月―1998年2月) |
1997年に次男が逮捕、懲役2年判決。罪状は通貨危機を呼んだ韓宝(Hanbo,한보 그룹)グループへの不正融資関与 |
⑧金大中(Kim Tae-jung,김대중)(1998年2月―2003年2月) |
任期末期に3人の子息全員が斡旋収賄で逮捕 |
⑨盧武鉉(Roh Moo-hyun,노무현) (2003年2月―2008年2月) |
退任後、実兄が収賄罪で逮捕。 自身も2009年4月に収賄容疑で検察から聴取。 同年5月に自殺 |
⑩李明博(Lee Myung-bak,이명박)(2008年2月―2013年2月) |
2018年3月に収賄、背任、職権乱用で逮捕。2020年10月29日で懲役17年、罰金130億ウォン(約12億5,757万円,約1,157万USドル)、追徴金57億80000ウォンの刑が最高裁で確定。 韓国日本議員連盟会長も務めた実兄も斡旋収賄などで逮捕、懲役2年 |
⑪朴槿恵(Park Geun-hye,박근혜)(2013年2月―2017年3月) |
2017年3月10日、弾劾裁判で罷免宣告。 2017年3月31日収賄、職権乱用などで逮捕 2021年1月14日最終審で懲役22年、罰金180億ウォン(約17億4,314万円 約1,604万USドル)、追徴金35億ウォンの判決確定。 |
【図】韓国歴代大統領の末路
食糧難の北、監獄リスクの南.
――北朝鮮はなぜ、米国との対話をしたがるのですか。
鈴置:米国が主導する国際的な経済制裁を緩和させたいのでしょう。
コロナ対策で北朝鮮は対外的な交易を全面的にストップ。経済は破綻の危機に瀕しています。
これを打開するには米朝対話を再開し、制裁を緩めてもらうしかありません。
ここで馬鹿を見たのが、文在寅 政権です。米朝を仲介して朝鮮半島に平和をもたらしたと国民に功績を誇ってきた。
それなのに核・ICBM実験の再開示唆ですべてがぶち壊しになった。
ことに今、退任後の監獄送りを避けるため、文在寅 大統領は決定的な功績を必要としている。
それが朝鮮戦争の終結を謳う「終戦宣言」でした。
しかし米国も北朝鮮も、実質的な意味はなく文在寅の監獄送り防止用と見抜いていますから、終戦宣言をしつこく持ちかけてくる韓国を相手にしませんでした。
文在寅 政権は2月4日からの北京五輪の場を利用、米中南北、せめて中国南北朝鮮の首脳会談を開いて終戦宣言を実現しようとしました。
が、北朝鮮が五輪不参加を決めたため、この構想も霧散。
そこに追い打ちをかけたのが、両実験再開の示唆だったのです。
さしたる功績なしで任期を終える文在寅 政権。大統領はじめ、幹部は暗澹たる思い(gloomy thoughts, 암담한 생각)でしょう。
多くの人が監獄に入る悪夢をみているはずです。
ほらがブーメランに。
――「米朝首脳会談を仕切った」などとホラを吹かねば良かったのに。
鈴置:確かに、今となっては猿芝居外交が裏目に出ました。ただし、当初の効果は抜群でした。
第1回米朝首脳会談の翌日、2018年6月13日の統一地方選挙で与党「共に民主党」は圧勝。
政権とすれば猿芝居を打つのは当然でした。
それに、猿芝居と国民が怒りだす可能性も低かった。
2017年に北朝鮮は核・弾道ミサイル実験を繰り返し、米国は先制攻撃も辞さないとの姿勢を打ち出しました。
蚊帳の外(be left out in the cold, 모기장 밖)に置かれた韓国人は、戦争の危機に怯えたうえ、自分の運命さえ決められないことにいら立っていました。
そこに「状況を仕切って見せる」大統領が登場したのです。それが本当かどうかは重要ではありませんでした。
自らの手で運命を切り開いているととにかく信じたい――。
こんな韓国人の心の奥底に潜む願望に文在寅 政権は見事に応えたのです。
21世紀になる頃、「中国の台頭にどう対応するか」との質問をアジアの人々にぶつけて歩いたことがあります。
様々の答が返ってきましたが、韓国人だけからはありませんでした。
「考えても意味がない」と言うのです。
千年以上も周辺大国に自らの運命を決められてきた朝鮮半島の人々にすれば、ジタバタしても仕方ないのです。
元寇の時も、19世紀に西洋が東洋を植民地化した「西洋の衝撃」の際も、「団結すれば何とかなった」日本人とは、世界観が180度異なります。
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