通貨スワップの季節が到来?日本をチラ見する中央日報(JoongAng Ilbo)
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2020/01/22

 

通貨スワップ日本をチラ見する中央日報(JoongAng Ilbo)

通貨スワップ日本をチラ見する中央日報(JoongAng Ilbo)2

 

 

各国中央銀行の報道発表等を参考に、

韓国が現在保有している外国との通貨スワップ、多国間スワップ

等の状況を調べてみると、

たしかにインドネシア(3月)、

マレーシア(1月)、オーストラリア(2月)

の3ヵ国との通貨スワップについては今年、期限を迎えます(図表)。

 

図表5 韓国が保有するスワップ等

相手国と失効日

金額とドル換算額

韓国ウォン

インドネシア(2020/3/5

115兆ルピア(84.2億ドル)

10.7兆ウォン(91.7億ドル)

マレーシア(2020/1/24

150億リンギット(36.9億ドル)

5兆ウォン(42.9億ドル)

スイス(2021/2/20

100億フラン(103.3億ドル)

11.2兆ウォン(96.0億ドル)

オーストラリア(2020/2/22

100億豪ドル(68.6億ドル)

9兆ウォン(77.2億ドル)

UAE(2022/4/13

200億ディルハム(54.4億ドル)

6.1兆ウォン(52.3億ドル)

中国(2020/10/13?)

3600億元(521.5億ドル)

64兆ウォン(548.7億ドル)

二国間スワップ小計

869.0億ドル

106兆ウォン(908.8億ドル)

CMIM

384.0億ドル

 

合計

1,253.0億ドル

 

(【出所】各種報道等より著者調べ。

米国ドル換算額については昨日時点のWSJの終値を参考に試算。

なお、韓国の通貨当局はこれら以外にもカナダとの間で締結した

為替スワップ(BLA)を「通貨スワップ(BSA)」と称している模様)

 

韓国が「ある」と自称する外貨準備高は4000億ドル少々だそうです

が、総額1253億ドルというのは、

その4000億ドル少々の外貨準備の3分の1にも満たない金額です。

 

正直、韓国の企業などが外国の金融機関から借りている金額は

3000億ドル少々ですので、本当に4000億ドルも外貨準備があるのなら、

通貨スワップなどなくとも、韓国は通貨危機に直面することはあり得ません。

 

ただし、そもそも論として

韓国が「存在する」と主張する4000億ドルの外貨準備とやらには

実在性が怪しい項目もあり、

実際に「いつでも換金できる額」は2000億ドル、

いや、下手をするとそれ以下ではないかとの可能性もあります。

 

だからこそ、韓国は「外国と1253億ドルものスワップがある」

と強調しているのではないでしょうか。

 

中国とのスワップがBSA全体の60%を占める

 

ただし、図表1と図表5を改めて眺めて見て気付くのは、

韓国が外国と締結しているスワップのうち、

通貨スワップ(BSA)とCMIMをあわせた金額は1253億ドルです

が、このうちCMIMが384億ドルを締めていて、通貨スワップ

(BSA)については869億ドルしか存在しません。

 

しかも、CMIMについてはデリンク割合が30%です

なので、384億ドルのうちの30%(つまり115.2億ドル)を超えて

ドルを引き出そうとしたら、またしてもIMFが介入して来てしまう、

ということです。

 

次に、通貨スワップ(BSA)の869億ドル部分に限定してみると、

521.5億ドル、つまり全体の6割が中国とのスワップです。

ただし、そもそも論として中国韓国スワップは

20171010日に失効したままであり、

韓国政府が「わが韓国は中国との間で口頭で延長に合意した」

と自称しているに過ぎません。

 

よしんば、韓国政府が自称する「延長で合意した」というのが

事実だったとしても、人民元自体はいまだに国際的には

「ハード・カレンシー」と呼べる代物ではありませんし、

もし韓国が通貨危機に陥ったとしても、「人民元を中国から借りて来て、

それをドルに換える」、ということは非常に難しそうです。

 

さらには、インドネシアやマレーシアとのスワップについては、

それぞれの通貨は国際的な市場で自由に換金することが難しく、

115兆ルピア、150億リンギットを一気に米国ドルと両替すれば、

韓国の通貨危機がインドネシアやマレーシア

にも波及してしまう、というリスクがあります。

 

要するに「弱いもの同士」の通貨スワップには、

金融危機を防ぐ力などないどころか、

危機がさらに波及するというリスクもはらんでいるのです

(ちなみにインドネシアは日本ともBSAを締結していますので、

韓国がインドネシアからルピアを引き出せば、

インドネシアは日本からドルか円を引き出すでしょう)。

 

つまり、韓国が保有する通貨スワップには、

次のような問題点があるのです。

 

そもそもCMIMについてはデリンク割合が30%であり、

IMFの介入なしに全額引き出すことはできない

BSA全体に占める中国韓国スワップの金額割合は60%である

が、そもそも中国韓国通貨スワップ自体契約書が存在せず、

韓国が通貨危機に陥っても中国がスワップ引出に

応じてくれるかわからないし、

また、引き出した人民元をドルに換金するのは難しい

 

BSAの相手国のうちインドネシアやマレーシアの通貨は

国際的な市場で通用力が弱い「ソフトカレンシー」であり、

もし韓国がこれらの通貨を引き出してドルに換金しようとすれば、

韓国の通貨危機がインドネシアやマレーシアに波及しかねない

 

さしあたってはマレーシアだが

 

ただし、あくまでも個人的な印象で恐縮ですが、

韓国が「外貨準備もこんなにたくさんある」、

「わが韓国はこんなにたくさんの国とスワップを結んでいる」、

などと述べているのは、おそらく、「ハリボテ」を作るためでしょう

(※そういえば38度線の北側にも「ハリボテ」が大好きな国がありますね)。

 

つまり、韓国が重視しているのは、

「実際に危機が発生したときに役立つかどうか」

ではなく、

「国際的な投機筋に対し、わが韓国は通貨危機への備えがこんなにあるよ」

という「見栄え」なのではないでしょうか。

 

それはさておき、図表5で見ていただければわかります

が、さしあたって韓国銀行が更新しようとするのは

1月に期限を迎えるマレーシアとのスワップ、

ついで2月に期限を迎える豪州とのスワップ、

3月に期限を迎えるインドネシアとのスワップでしょう。

 

このうちマレーシア、インドネシアとのスワップについては、

更新に成功すればしたで、韓国メディアが狂喜乱舞して報じるものと思います

が、更新できなかったとしても、

「ソフトカレンシーだから更新できなくてもわが韓国には実害はない」

といった報道が流れるのかもしれません。

 

一方、豪州との通貨スワップ(BSA)は、

スイスとの通貨スワップ(BSA)、CMIM

などと並んで、韓国にとっては貴重な

「ハード・カレンシー」との通貨スワップです。

もし豪州韓国通貨スワップの更新が成立しなかった場合は、

それだけで韓国メディアは大騒ぎするのかもしれませんね。