ひさしぶりに韓国語関連の記事を。
よく日本で韓国語を学習している人から
「やっぱり留学しないと韓国語上手にならないですか?」
という質問を受けます。
僕自身、
16年前の日本では韓国語を学ぶ場所どころか
韓国語に触れる機会すらほとんどなくて、
「このままじゃらちがあかない!」
という気持ちでソウルにやってきたクチですし、
自分のその選択は結果的にすごくプラスに働いたと思っているので
留学して現地で生活することが、韓国語学習に与えるポジティブな側面は
たしかに少なくないと思います。
そのうちの一つが
「韓国語の表現を生の場面と一緒に習得できる」
ということ。
日本で学習している人のほとんどは、
何らかのテキストを使っていると思いますが
大抵のテキストの構成というのは、
①「こんな表現がありますよ」
↓
②「こんな意味ですよ」
↓
③「たとえばこんな風に使いますよ」
という風にできていますよね。
でも、②の段階で似た表現が出てきた場合、
たとえば부끄럽다と민망하다(どちらも「恥ずかしい」と訳される)が
出てきた場合に、「あれ?この表現って、あの表現と何が違うの?」
と混乱してしまうことになります。
初級から中級、中級から上級に進むにつれて
こういうことはどんどん増えていき、
説明を読んでもピンと来ないし、ネイティヴに聞いてもイマイチすっきりした答えが返ってくるわけでもない(というか大抵の場合ぜんぜん見当違いの解答をされることが多い)
で、いつのまにか
韓国語わかんない!!
と苦手意識すら持つようになってしまいます。
一方、現地で生活しながら学んでいると
ある表現との出会いはこんな感じです。
①ある場面に出くわす
↓
②そこで使われている新しい表現に出会う
↓
③表現と場面がペアで脳内にインプットされる
↓
④後日、①に似た場面にまた出くわしたとき、②を使ってみる
たとえばさっきの例で言うと
友人と二人で地下鉄の座席に座っているとき、
前に立っているおじさんのズボンのチャックが全開!だとします。
ええっ...と思っていると、友達もそれに気づいたようで
あなたにチラチラ視線を送ってきます。
涼しい顔で立っているおじさんを前に二人の間に流れる気まず~い空気
そこで友達がボソっと
"완전 민망하네..."
その場面の空気を覚えていれば、
今度また似たような(全く同じ出来事でなくても)気まずさを覚えた時に
「そういえばあのとき友達は민망하다って言ってたな...」と思い出して
使うことができるわけです。
これは赤ちゃんがトライ&エラーを繰り返しながら
状況に応じて言葉を覚えていく過程に通じるものがあります。
教えられて覚えるのではなく、自分で納得して頭の中に整理していく、
そうすることで「より自然な」使い方を習得することができるわけです。
このような生きた場面の中にまるごと飛び込むことができるのが
現地で言語を学ぶ最大のメリットと言えると思います。
と、ここまで書くとあちこちから
「じゃあやっぱり留学しないといけないの?(私はそんな状況じゃないのに)」o(;△;)o
という恨めしそうな声が聞こえてきそうですが...
さにあらず。
現地で暮らさなくても、現地の雰囲気を感じる方法はあります。
それは、日本で公開されている韓国のドラマや映画を活用すること。
それらを見ることでも十分に現地の場面を疑似体験することは可能です。
ただ、その時重要になってくるのは作品の選定。
いくら時代劇が好きだからと、そればかり貪るように見ていても
実際には
悪徳官吏の陰謀にはまって犬死にした父親の復讐をするシチュエーション
なんてそう滅多にあるもんじゃありませんからね...笑
あんまり現実離れしすぎず、自分と共通点の多いキャラが出てくるものがオススメです。
まあ、いろいろと書きましたが
表現は場面とセットで覚えるのが一番効果的で
そのために不可欠なのは、新しい表現にたいする好奇心と、
それと状況とを関連づける想像力。
逆に言うと、この二つがなければ
いくら現地で生活していても、生きた表現を十分に吸収することはできず
いろんな意味でとっても勿体ないことになっちゃうということです。
しかし、色んな人と会っていると
「ずっと日本で学んでいるのになんでこんなに上手なんだろう?」
という学習者もたくさんいますし、逆に
「あれ?この人韓国に住んでずいぶん経つはずなのに...(以下略)」
という人にも会います。