コンヴィクト100レポート

 

 

大会:コンヴィクト100

開催日:2024年5月4日(土)

場所:セントオールバンズ(オーストラリア)

結果:2位(エリート)

タイム:4時間12分16秒

距離:100km

獲得標高:約1800m

天候:曇り/小雨

 

STRAVA↓

 

 

今年で18回目を迎えるオーストラリアを代表する長距離MTBレース「コンヴィクト100」。

 

かねてより出場したかった大会。期待と興奮と共に、レースの日を迎えた。

 

トレーニングを順調に積み重ねることができ、ここ数年で一番のコンディションを作ることができていた。

 

1週間前からオーストラリア入りし、2日かけてコース試走を入念に行った。自身にとってシーズン初戦ということもあり、気合も十分。

 

 

しかし、急激な気温変化が影響したのだろう。情けないことにレースの数日前から体調を崩し、前日も出走が不安なほどに悪化させてしまった。

 

感染対策など十分に気をつけていただけにとても悔しい状況だ。

 

当日の朝、鼻詰まりなどは残っていたが、なんとか出走できる程度までに回復することができた。

 

 

心配していた雨は、スタート前に奇跡的に止んでくれた。

 

 

会場には1000人近い参加者とそのサポーターが集まり、小さな町が熱気に包まれ、レースの高い人気がわかる賑わいを見せていた。

 

 

ナンバープレートにはYUKIの名前。

こういったサービスが意外と嬉しい。

 

 

朝7時スタートに並ぶ。

 

 

 

私にとって今年最初のレース。

 

ここからシーズンが始まると思うと、興奮度が最高潮に上がり、心が躍った。

 

 

MCと観客のカウントダウンでいよいよレースがスタート。

 

 

優勝候補の1人、シャーウッド選手が最初の10kmほどの平坦区間を超高速ペースで引っ張る。

 

 

この時点ですでに5倍強のパワーを踏み、心拍も閾値以上に上がり、ローテーションしたくても速すぎて、付いていくことしかできなかった。

 

 

 

 

 

平坦区間を終えると、名物の激坂区間に突入し、一気にふるいにかけられる。

 

 

全力ペースで駆け上がるが、体調の影響なのか、呼吸がいつも以上にキツく、軽い目眩がしてペースが上げきれない。

 

 

ここでトップ3選手にはちぎられてしまい、後続にも追いつかれるが、なんとか4〜10位あたりで食い止まる。

 

 

 

 

激坂が終わると、長くタイトなテクニカルシングルトラックが続く。

 

 

張り巡らされた濡れた木の根、ロックガーデン、倒木など障害物のオンパレード。

 

一瞬でも気を抜くと、ラインミスからの落車の危険性があるので、ライン取りに全集中を注ぐ。

 

 

 

 

半分の50km地点。

 

 

テクニカルな上りで後続を一時離して単独3位となるも、平坦区間で追いつかれ再び3〜7位のパックとなる。

 

 

 

 

オフの間に苦手意識のある平坦を強化したつもりだったが、まだまだ鍛錬が必要なようだ。

 

 

最後の長い上り。

 

 

ここを過ぎると終盤フィニッシュまでは、苦手な平坦区間となる。順位を上げるには、今この長い上りでタイム差を作る必要がある。

 

私の勝負所だ。

 

ペースアップして、後続を引き離す。

 

やはりテクニカルな上りでは私に分がある。

 

1人だけ視界の範囲に付いてきているが、再び順位を3位に上げる。

 

 

その瞬間、脚と股関節周りの筋肉が攣り始めた。

 

顔が歪むほどの激痛が走るが、今は足を止めるという選択肢はない。

 

 

頂上付近でなんと2位の選手を視界に捉え、下り終えたところで追いつくことに成功した。

 

 

 

 

そのまま抜き去りたかったが、ここからフィニッシュまでは約10kmの平坦セクション。後ろにぴったりと付かれてしまった。

 

先頭交代しながらお互いの余力を探り合う。

 

 

正直、攣っている足のダメージが大きく、体力的にもほぼ余裕がない状況。

 

 

しかし、弱みを探られないように少し無理してでも先頭では強く踏み、元気な様子をアピールした。

 

 

ゴールまで1km切ったところで、相手が仕掛けてきた。

 

 

限界ギリギリでなんとか反応し、必死についていき、再び横に並んだ。

 

 

相手の最後の勝負をかけたアタックだったのだろう。

 

 

私に付いてこられたことで肩を落とし、諦めのオーラが感じられた。

 

 

そのチャンスを逃さず

 

なけなしのパワーを振り絞ってカウンターアタックを決め、エリートカテゴリー2位でフィニッシュ!

 

 

 

 

 

タイムは、4時間12分16秒。

 

優勝したシャーウッド選手は4時間を50秒切る圧勝。

 

完敗だ。

 

 

しかしながら、序盤の体調不調から復活し、そこから最後にかけて調子と順位を上げられた展開は、正直自分でも驚きのパフォーマンスだった。

 

 

積み上げてきたトレーニングが間違ってなかったことを証明してくれた。

 

 

バイクもノートラブルで最後まで最高のパフォーマンスを提供してくれた。

 

 

今回実戦初投入したタイヤ「マキシスASPEN ST」が大正解だった。

 

 

 

周りからはもっとノブの高いタイヤを勧められたが、試走をした感じと自分が感じたコースの特性からASPEN STをチョイス。

 

 

 

ほぼセミスリックなので高速グラベルロードでの速さはお墨付き。

 

トレイルセクションでもタイヤのしなやかな特性で想像以上にグリップしてくれた。

 

空気圧は前後共に19psi。

 

グリップ確保のためにもう少し下げたかったが、パンクリスク回避とのバランスで19psiに落ち着いた。

 

 

今回はFOXサスペンションをいつもよりプラッシュ目で調整。

 

そのおかげで、ガレたトレイルとドロップの大きいロックガーデンでのダメージをかなり軽減できたと思う。

(サグ設定:フロント20%、リアショック24%)

 

 

 

スムーズな路面、上り、ダンシング時には基本ロックアウト、サスが必要な路面とタイミングではしっかり動かす、というメリハリがある設定と判断がうまく機能したレースでもあった。

 

 

コースは噂通りのハードコースではあったが、高速グラベルロード、テクニカルなシングルトラック、心臓破りの激坂、絶景を拝めるリッジラインなど、飽きのこない変化に富んだ最高のレース舞台だった。

 

 

そして、的確なコース案内のボランティアの人たち、充実したエイドステーション、沿道の応援など、大会運営も素晴らしかった。

 

 

コースは、100km以外にも67km、48kmを選べる。

 

カテゴリーもeバイク、グラベル、シングルスピードなどがあり、様々なレベルや車種でレース参戦が可能。

 

 

今回、他のレースと少し違う準備が必要だったのがレース中の必携品。

 

ヘルメット、パンク修理キット、500ml以上のドリンク&ボトル、予備チェーンルーブなどは通常だが、救急キットの内容は興味深かった。

 

 

携帯する救急キットは、包帯、三角巾、バンドエイド4個、創傷被覆材、医療用手袋が必須。

 

 

 バックポケットに入れるためにコンパクトにまとめると↓のような感じ。

 

 

今回は使う場面が必要なくて幸いだったが、いつ何が起こるかわからないのがアウトドアスポーツ。

 

備えあれば憂いなし。

 

 

今回、軽量を意識してなのか、必携品項目を見落としていたのか、あからさまに携帯していない選手も見受けられた。安全性と公平性を考えてもらい、これからはより周知していってもらいたいと思った。

 

 

日本の最大級の長距離MTBレース「SDA in 王滝」でも、基本のバイク装備から、レインウェア上下、救急キット、ライトなどを携帯する必要がある。

 

王滝の必携品やルールの詳細はこちらから↓

 

 

 

私自身を含め、出場する人は「必要ないだろう」とか「重い」とか思わずに、アウトドアスポーツ、安全、命、公平性をリスペクトしてしっかりチェック&準備して臨もう。

 

 

トピックが脱線してしまったが、シーズン初戦をビッグレースの表彰台で飾ることができたことはとても大きな収穫だった。

 

 

 

自分の長所短所も改めて確認できたので、これからの大きなレースに向けて可能な限り修正し、自分史上最高のシーズンを送りたいと思う。

 

 

今回も国内外から沢山の応援とサポート、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

【今回用意した補給内容】

 

 

ドリンク:
 

750mlボトル X 2本


(中身GUドリンクミックス(500kcal (通常の2倍))+ GUリキッドエナジー2本(180kcal) x 2本 = 1,360kcal)
カーボ量:340g


補給食:


GUエナジーチュー1袋(180kcal)
カーボ量:44g

・羊羹1個(161kcal)
カーボ量:38g

総カロリー:1,701Kcal 
総カーボ量:422g

 

目標としていた4時間で割ると大体1時間あたり425kcal (105.5g)。

ボトルも若干飲みきっていなかったりしたけれど、1時間あたり約400kcal (100g)摂取はできていたと推測できる。

 

今日のツールドフランスなどロードレースでは100-120g/時間のカーボ(炭水化物)を摂取する。90g以上の摂取でパフォーマンスへの有意性がみられるとの研究もある。

 

一般的には30~60g程度での補給が効果的と言われるが、革新的な吸収効率の良い高炭水化物製品開発や、エンデュランスアスリートの糖代謝能力の向上が今日の数値を可能にしていると思われる。

 

 

今回は、今までのレースに比べてカーボ量は多かったけれど、普段から補給を摂る練習もしていたので、胃腸は問題なく、エネルギーにしっかり変換できた実感があった。

 

 

実際ハンガーノックなどの感覚は一切なく

4時間12分16秒を走り切ることができた。

 

 

~使用レース機材・装備~

 

バイク: Canyon LUX CF SLX

ホイール:DT SWISS XMC 1200 SPLINE, 30mm

タイヤ: MAXXIS ASPEN ST 29 x 2.4 (F&R), 前後19PSI

シーラント:Finish Line 

グリップ: ERGON GA3

グローブ: Ergon HM2

サドル:ERGON SM Pro Men

シートポスト:DT SWISS D232ONE

工具・サドルバッグ・ボトルケージ: Topeak

スペアチューブ:Tubolite

チェーンオイル:Finishline ceramic wet

ブレーキ:Shimano XTR

ドライブトレイン:Shimano XTR, フロント34T

ペダル: Shimano XTR

ヘルメット: Limar AIR PRO

チームジャージ:SPORTFUL

 

 

 

 


パーソナルスポンサー:

NEW HALE:テーピング

自転車コーキ屋
サン・クロレラ Aパウダー

HALO HEADBAND:ヘッドバンド

オルタナティブバイシクルズ

 

 

 

チームスポンサー:

Ergon

Topeak

Canyon
Limar
Maxxis
DT Swiss

Shimano

Finish Line

Fox

Sportful