以前、あるコーチングの勉強会でおもしろい実習を行いました。
2人がペアーになって一人が調教師、一人が犬の役をして、調教師が犬を調教するという実習です。
犬役の人には、やって欲しい行動を決めて(例:部屋の中央でジャンプするなど)2つの方法で指示を出します。
もちろん犬役の人は、その行動を知りません。
(部屋の外で待機していてその後、入室。)
①は犬がやって欲しい行動から遠のいたら「ダメ、ダメ」とダメだし。
(目標に近づいても黙っている。)
②は犬がやって欲しい行動に近づいたら拍手をする。
(近づくと拍手の回数が多くなる。出来たら拍手喝さい)
調教師役の人はこの2つの方法で、犬に目標とする行動を取らせるというもの。
まず、最初のペアーの挑戦。
犬の目標行動は、調教師役の人が座っている椅子の後ろのバッグを手にするというもの。
①犬役のTさんが入室し、全員が見守る前でいろいろな行動をすると・・・
部屋の中央に行こうとすると調教師は「ダメ」。
調教師役の人の座る椅子から離れると「ダメ、ダメ」
椅子の下にあったペットボトルをとっても「ダメ」。
結局、その目標行動をとることはできませんでした。
いったんTさんは、退室し、調教師役の人は別の目標行動を決めておきます。
②犬役のTさんが入室し、今度はその行動を目指します。
犬役の人に取らせる行動は、その勉強会の講師の周りを回るというもの。
犬役のTさんは、先生に近づけば近づくほど拍手がもらえます。
逆に、ターゲットから遠のくと拍手は消えていく。
なかなかうまくいきません。
結局、最初のペアーは、①②ともどちらもうまくいきませんでした。
しかも犬役をしたTさんは、なんとうっすらと涙をさえ浮かべている。
「娘にもダメ、ダメと同じようなことをしていたかもしれない」と!
しかし2組目や3組目のペアーは、両方とも課題をクリアー。
さて、参加者の感想ですが、4組目の犬役のSさん、「ダメと言われると考えない」「拍手はうれしくなり試してみたくなる」と述べています。
また多くの方が「ダメと言われると否定されているようで悲しくなる」と言っていました。
それと犬役をした参加者の何人かがダメ出しをされたことによって「子供に同じような言い方をしていたかもしれない」と感想を述べていました。
そして皆さん、自分の日ごろの言動に反省しているようでした。
この実習で講師が強調していたことは、目標の行動に到達するのに「ダメ」のほうが結論が早く出るということ。
だから子育てをする上で、「ダメ」と言うことが多くなるということでした。
しかし、「ダメダメ」と言われるとつらい気持ちになってしまうという犬役の人が多かったようことからもわかるように、その方法があまりよい方法ではなさそうです。
また、「ダメ」をいつも言われていると考えなくなってしまうという話しもでました。
加えて「しつけやすい犬」と「しつけづらい犬」の違いも説明されました。
目標の行動を達成した犬役の人の傾向は、どんどんトライしようとする姿勢を持った人。
講師曰く、「しつけやすいのはおしゃべりをし、どんどん動き回る犬。しつけに困るのは、あまり行動しようとしない犬です。人間の子供も基本的に動物と同じです。」
そのため「活動量の多い子は親にとっては大変で、育児ノイローゼになりそうでも、かえって育てやすい。そんな子を持ったお母さんは神様に感謝しないと!」と話していました。
さらに、私は時間の関係でその実習に参加できなかったのですが、観察していて気がついたことがあります。
それは「ダメ」と言っている調教師役の人の表情が硬かったこと、それに反して拍手をしている際には、その同じ人がうれしそうな表情に変わることでした。
「ダメ」と言っているときはどうしても表情は硬くなるんですね。
もし、いつも「ダメダメ」と言っていたら?
お母さんの顔色を伺って、考えない子に育つ可能性もあるかも!
拍手のしつけ(良い出し)を行うなら、子供は何でもトライする子に育つ可能性が高いでしょう。
「拍手をもらえることは嬉しいことだし試してみたくなる」のですから。
では、子どもさんにどう育って欲しいですか?