ある本にこんな例が載っていました。
電車に4,5才の男の子を連れたお母さんが乗ってきたのですが、車両に乗り込むやいなや男の子は、「座るところがない」と大声で叫びます。
お母さんが車内を見渡し「座れないよ、仕方ないでしょう」と言うと、子どもは「座るところがない」と言ってこんどは泣きだしたというのです。
そんな姿を見かねた70代の女性が席を立って、「ぼく、ここに座りなさい」といって席を譲ってくれました。
するとお母さんは・・・
その申し出を断ることもなく、子どもを座らせたんだそうです。
しかも、その70代の女性に対してお礼を言うこともなかったとか。
では、この子は、それによって何を学んだでしょう?
もしかすると「泣けばお母さんや周りがなんとかしてくれる」ということを学んだかもしれません。
そして同じようなことが続くと「自分の望みは必ず叶えられる」、そんなゆがんだ認識を持ってしまう可能性が・・・
しかし、小学校、中学校へと進むに従って、自分の思い通りに物事が運ぶことなんてほとんどなくなっていくことでしょう。
すると・・・ご想像にお任せします。
この例などは、「甘やかし」の範疇にはいるのかもしれません。
ちにあみに、「甘やかし」にはいくつかのタイプがあるようです。
「家族カウンセリングの技法」というアドラー心理学に基づいた本には、4つのタイプが示されていました。
そのタイプとは?
①甘やかしすぎ
子どもの要求に対して何でも与える。やってあげる
②過許可
何でも許してしまう態度。
③過支配
子どもを支配して親がすべてを決定。
④過保護
危険を考えて、子どもに物事の危険な面ばかりを指摘して親への依存度を高める
冒頭の例などは、①の甘やかしすぎか、②の過許可にあたりそうですね。
そして甘やかしを続けていると子どもは問題を抱える可能性も・・・
「家族カウンセリングの技法」では、次のように述べています。
子どもを甘やかすことは、子どもの成長にとって、おそらく最も重大な障害です。
ただ、ここで「甘えを受け入れること」と「甘やかし」は違うことを知っておく必要があるかもしれません。
甘やかし(ヘルプ)
・親が子どものいいなりになってしまう
・子どもをコントロールするため買ってあげてしまう
・先回りしてやってあげてしまう
・ルールで決めたものを親の事情、相手の事情でルールを曲げる
・子どもの後始末を親がやってあげる
などなど。
甘えを受け入れること(サポート)
・愛情が欲しい
・子どもがほっとしたい
・認めてほしい
・不安な気持ちの時
甘えと甘やかしにはこのような違いがあるといいます。
子どもの心のコーチングの著者、菅原裕子さんは、それぞれに対して、ヘルプとサポートという言葉を使っています。
甘やかしは、子どもにとって「重大な障害」となり得ます。
しかし、甘えは受け入れてあげる必要があるのかもしれません。
具体的には、十分に話を聞いてあげたり、抱きしめてあげたり・・・
甘えというと悪者扱いされそうですが、甘え自体は決して悪ものではないようです。
ちなみに、甘えについては、和田秀樹さんの「成功する人の甘え力」を以前読んで、とてもおもしろいと思ったことがあります。時間でもあれば、一読をお勧めします。
参考図書
●「家族カウンセリングの技法」
B・グランウォルド、H・マカッビー著
坂本洲子・江口真理子訳
●「子供の心のコーチング」
菅原裕子著
今日の記事は、加筆、修正しての過去記事の再投稿です。