大阪で高校2年生が、体罰を苦にして自らの命を絶つという事件がありました。
なんとも痛ましい事件ですが、いまだに体罰をしている先生がいるということが、ある意味、信じられませんでした。
これだけ、体罰はまずいという世相があるのに、今でもそれを行っている先生がいたのですね。
でも、体育会系のクラブではいまでも結構あるのだろうと思います。
しごきや体罰が!
そして、きっとそれが、指導に有効だという思いこみがあるのでしょう。
今回の大阪の件でも、顧問の先生が「強いクラブにするには体罰も必要。・・・たたくことで良い方向に向く子もいた」と述べていることが新聞に書かれていました。
でも、それは本当でしょうか?
そういえば、1月12日の朝日新聞には、元巨人の桑田真澄さんのインタビューが掲載されていました。
桑田さんは、早稲田大学で学ばれているようですが、論文執筆のためにプロ野球と東京六大学の野球部員にアンケートを行ったそうで、その時に体罰は必要と考える人が88%もいたことを話されていました。
いまでも、体育会系の団体では、そのような感覚が残っているのですね。
ちなみに記事によると、なんと桑田さんは、中学まで毎日練習で殴られていたとか。
それを「今でも思い出したくない記憶です」と述べています。
そして、よく体罰は、愛の鞭などと言われますが、「私自身は体罰に愛を感じたことは一度もありませんでした」と述べていたのが印象的でした。
そして桑田さんご自身は、「体罰は不要」ときっぱりと述べています。
その理由についてこう述べていました。
「体罰を受けた子は『何をしたら殴られないで済むだろう』という思考に陥ります。それでは子どもの自立心が育たず、自分でプレーの判断ができません」
それととっても興味深い言葉を紹介します。
「私は、体罰を受けなかった高校時代に一番成長しました」
体罰を受け続けた中学時代よりも、体罰を受けなかった高校時代の方が成長したというのです。
確かに、そうだろうと思います。
アドラー心理学的も罰は望ましくないと考えます。
理由としては、罰によって適切な行動は学べないことや、桑田さんも述べているように子どもを自分で考えて行動するという面で、マイナスに働くなどの面が大きいからです。
それに加えて、コーチとの関係が悪化してしまう可能性が高いでしょう。
以前にも書いたことがありますが、陸上競技の長距離のコーチをされている方を知っています。
その方が話していました。
「叱ったり、罰して選手を行動させても、成果を得ることはできるかもしれないけれども、あとで恨まれるよ」
どんなに成果を残しても、人間関係が悪くなってしまっては、困りますね。
ちなみにその方は、ある高校生をインターハイで優勝させたほどの実力の持ち主ですが、その秘訣も聞いてみました。
すると・・・
「その子のいい点を見つけて、ほめることだね。いい点を見つけてほめていると、欠点も目立たなくなる」
やはり、体罰や叱責よりも、いい点を見つけて伸ばしてあげた方がいいというわけです。
ということで、「体罰は本当に必要?」というタイトルにしましたが、結論は、桑田さんも述べるように「体罰は必要ない」ということです。
ところで、子どもを自ら行動する子に育てる上で、とってもおもしろい本を今読んでいます。
機会を見つけて、ご紹介しますね。