お子さんに勉強や仕事の意味を与えていますか?
そんな話を今日はしようと思います。
さて、その子は登校拒否の関係で、カウンセラーのもとを訪れていました。
ある時、カウンセラーは興味深い話をします。
それは、登校拒否の子が、とうとう学校をやめてコンビニでアルバイトを始めた時のこと。
その子は、アルバイトを始めてからも、カウンセラーのもとを訪れていたようです。
その時に、カウンセラーはこんなふうに聞きました。
「どう、気分は?」
するとその子はこう答えた。
「ウ~ン、むなしいなあ。学校は考えてみればよかったなあ、楽で」
カウンセラーは言います。
「学校よりコンビニの方がいいよ。だってコンビニではすごく大事なものをみんなに売っているんだからね」
するとその子は答える。
「そんなもの売ってませんよ。僕が売っているのは缶ジュースとかパンとかですよ」
カウンセラーは言います。
「違う違う、あなたが売っているものは“自由”なんだから。コンビニがなかったら人は不自由でしょ。
ということはコンビニが売っているというのものは、ただ商品を売っているだけじゃなくて、便利さとか、自由を売っているわけね。
あなたがそうやって夜中に働いてくれてくれるおかげで感謝してくれる人がいっぱいいるから、そう思って暮らしてください」
そんなアドバイスを受けて、この子は、そどうなったでしょう?
一週間後、喜んで、この子がカウンセラーのもとにきたそうです。
そして言いました。
「そう思って働いているとすごく感じが違う」
この例をお読みになってどう思われたでしょう?
確かにコンビニで売っているものは、ジュースやパンかもしれませんが、それを買うことによってお客さんは、得ているものがあります。
それはカウンセラーの方が述べるように、自由だったり便利さだったりします。
ただ、ジュースやパンを売っていると思えば、つまらない仕事も、それを買う人に自由や利便性を提供していると思うだけで、やりがいが違ってくる。
なぜ、そんな違いが生じるのでしょう?
その理由について、アドラー心理学の重鎮、野田俊作さんに説明してもらいましょう。
実は上記の例のカウンセラーは野田さんです。
野田さんは、こう述べています。
いったい人生の生きがいというか、幸福の条件というのは何かというと、私のやっていることは、ほかの人の役にたってるなあという感じだと思うんです。
まず、みんなと仲良くできてるなあという感じがあって、その中で、みんなは私によくしてくれるけれど、私も一生懸命しているよっていう感じがあるとやっていけると思うんです。
洋服屋のおばさんだって、私がこうやって洋服を売ってお客さんが喜んでくれているということがわかっていれば、きっと違うと思います。
幸福というものは、将来にあるのではなくて、毎日毎日起っていることなんですよ。毎日毎日起っていることが僕らの幸福の条件なんです。
ここで生きがいや幸福の条件が、「私のやっていることは、ほかの人の役にたってるなあという感じ」であると述べています。
やはり、家庭や学校や社会に対して、自分が役にたっているという意識が、生きがいや幸福とつながっているようです。
そう考えると、もし、幸せな人生を子供に送って欲しいと思うなら、まずは、家でお手伝いをしてもらうなど、家族に貢献していることを感じさせてあげることが求められているのかもしれません。
それに加えて、子どもがしていることに、意味を与えてあげることも必要なのでしょうね。
例えば、勉強ですが・・・
「自分のために勉強するのよ」って言っても、子どもは心から納得しないはず。
あなたなら、どのようにその重要性を伝えますか?
参考図書
●ボクたちのアドラー心理学入門4 野田俊作講演集