人は無意識的に目標を持って、それに向かって生きているとアドラー心理学では考えます。
そしてその目標のことを相対的プラスいうそうです。別の表現を使ってそれを説明すると、相対的プラスは、自己理想。
自分は、こんな人間になりたいという理想の姿が、相対的プラスと言われるものです。
それに対して現状認識、目標に比べて今の自分を相対的マイマスと言います。
つまり、現在の自分に対する概念、つまり、自分は、こんな人という感覚(自己概念)や世界像が相対的マイナス。
さて、この相対的プラス(自己理想)が人の個性を決めるんだとか!
「自分は賢くなりたい」と思っていれば、人は賢くなるような努力をします。
「人から好かれたい」と思っていれば、その方向の努力をする。
「こんな人になりたい」という目標が、意識的にも、無意識的にも、人をその方向に向かわせるわけです。
その方向性が、人の個性を決めるといいます。
でも、そのような努力が、周りの人たちにどのように発揮されるかは、目標そのものではなく、相対的マイナス、つまり自己概念や世界像、自己評価が関係してくるとか。
つまり、自己概念や自己評価が低い状態で、相対的プラス(自己理想)に向かって目標追及すると、楽しく目標追求ができないんだそうです。
そうすると、臆病でおどおどしていて、他の人を蔑視したり、羨んだりして、かえって、人の足を引っ張ったり、反社会的なことで目標を達成しようとしたりするんだそうです。
このことを踏まえて、今のいじめ問題を考えると、子どもたちは相対的マイナス、つまり自己概念や自己評価が低いのではないかと思います。
そのような現状で相対的プラス(認められたい、強くなりたい、)を目指すので、人を蔑視したり、羨んだりして、いじめという反社会的なことで、自分なりの相対的プラスを目指しているとも考えられます。
だからこそ大事なのは、目標(相対的プラス)というよりも相対的マイマス、つまり、子どもたちの自己概念や自己評価をあげてあげることが大事なのかもしれません。
そうすることによって、いじめに対しても、何らかの効果を発揮するのではないかと思います!
ちなみに、アドラー心理学では、育児には3つの目標があると考えます。
1.人の役に立つこと
2.私は能力がある
3.人々は仲間だ
このような感覚をもつ子に育てることが大切、とアドラー心理学では考えます。
まず「私は能力がある」という感覚を培うためにはどうすればいいでしょう?
そのためには、子どもに何でも挑戦させてあげて、うまくいけば、プラスのフィードバック、そして上手くいかなかったとしても「次にどうすればうまくいくか?」を考えさせることなども大切なのかもしれません。
そのようにして小さな成功体験を積ませてあげることが重要なのだと思います。
それに加えて、「人々は仲間だ」、そんな感覚を育ててあげることも重要だと思います。
昨日の記事で、いじめのメカニズム的な話をしましたが、いじめに関係する子たちは、人間関係が希薄で、強いものに付和雷同して、ほんとはやりたくもないのにやってしまう子もいるんだそうです。
そうしないと自分も標的になってしまう可能性があるからです。
そう考えると明らかにその子たちは「人々は仲間だ」なんて感覚はないはず。
やはり、もっと早い段階(小学生までに)で、そんな感覚を培ってほしいものです。
それら2つの感覚があって初めて、「他の人の役に立ちたい」という感覚も育ってきます。
その点で、学校の先生がアドラー心理学を学ばれると変化が生じると思います!
先生が子どものよい点に注目して勇気づけて、学校ではクラス会議を毎日行うのです。
クラス会議については、それを始めた40代の先生がこんなふうに述べています。
行う前は、効果があるか半信半疑でしたが、毎日行って変化に気が付きました。
簡単に箇条書きにしてみます。
◎毎日行っていれば、話し合いの方法がみにつく。
◎教師の介入がなくても勝手に話し合いが勧められるようになる
◎集団での問題解決能力が身につく
◎「意見を言いたい」と積極的に授業に取り組む子が増えた
◎授業中の挙手が増えた
◎聴く力が身についてきた
◎授業が楽になった
悪くない方法だと思います。シンプルで効果があります。
また30代の男性教諭はこう書いています。
ひとたび、クラス会議を行えば、子どもたちは解決に目を向ける話し合いから、お互いを傷つけあうのではなく尊重しあって問題を乗り越えていこうとする姿勢がみられるようになります。やってみてください!
もし、多くの学校で、勇気づけやクラス会議を取り入れたら?
きっと何かが変わるはず!
参考資料
●クラス会議で学級は変わる 森重祐二著
●子育ての目標(3)アドラー心理学の育児