音楽の授業のとき、子どもたちがうるさくて、話したいことが話せず、授業が進まなくて、困っています。どうしたらいいでしょうか?
こんな議題が、音楽の先生から提出され、そのクラスの会議の議題として取り上げられた。
この問題は、音楽の先生、担任の先生によって個別指導などが何度も行われてきたのですが、改善がなされなかったんだそうです。
しかし、クラス会議にはかられると・・・
クラス会議をご存知でしょうか?
アドラー心理学をベースにした、学級経営の一技法なんだそうです。
具体的にどんなことをするかというと、
1.輪になって
2.「ありがとう見つけ」をして、
3.「議題の話しあい」をする。
これだけ。
もう少し、具体的に考えてみましょう。
普通、教室では机がありますね。それを廊下に出して、椅子を並べて輪にします。
そしてまず、行われるのが「ありがとう見つけ」。
輪になった子どもたちが、順番に友達にしてもらったことに「ありがとう」と言ったり、友達の良い点に注目して、それを認め合います。
そうすることによって、認め合い、助け合いの雰囲気が醸し出されるそうです。
その際、パスやヘルプもOK。そして「ありがとう」と言われた子は「どういたしまして」と言って受け入れる。
最初はぎこちなくてパスをしていたような子も、時間の経過とともに「私、誰のいいところでも言える」というように変化していくんだそうです。
とってもいいことだと思いませんか?
そしてよい雰囲気を作った後、「議題の話しあい」が行われます。
子どもたちが困っていること、抱えている問題などをあらかじめ議題箱を用意しておいて、そこで提出された議題を子どもたちが話しあいます。
ここで大切なことは、原因追求や責任追及ではなく解決策を話し合うこと。
そうでないと勇気くじきになってしまう可能性もありますね。
どうしたら解決できるか、どんどん、解決策をあげて、出てきた解決策をやってみるわけです。
さて、冒頭の音楽の授業の時に、子どもたちがうるさくて、という議題が提出されました。
それに対して、こんなアイデアが出たそうです。
1.しゃべらないようにする
2.伝言係が注意する
3.みんなで注意し合う
4.担任の先生に助けてもらう
5.こらー、静かにしろ~と言う。その他。
ここで子どもたちは「みんなで注意し合う」「伝言係が注意する」と言う解決策を選んだんだ。
結果はどうなったと思いますか?
この事例を紹介していた滋賀県の森重祐二先生は、このように書いています。
それ以降、劇的な態度の変化を見せた。子どもたち同士の声の掛け合いが見られ、態度面で困ることは少なくなった。・・・劇的な変化に教師2人ともが驚かされたのであった。叱責してもうまくいかないことでも、子どもたちが真剣に話し合えば上手くいくということを思い知らされた議題であった。
先生は、こんなことも書いています。
議題の話し合いをして常々感じるのは「クラス共通の問題と認識されれば、問題は解決されたも同じ!」ということ。
いかがでしょう?
これを読んで思ったのは、
子どもたちって大人が考える以上にしっかりしているのと、解決能力を持っているということ。
そして、そのようなかたちで、問題を解決していくことによって、いわゆる民主的な感覚を体に身につけていくんだろうなということ。
大人が子どもの能力を信頼して任せる。
大人がまず、その点を信じることが必要なのかもしれません。
ところで、クラス会議は、家族や会社などでも応用できそうですね。
ちなみにスマイルというアドラー心理学をベースにした親子関係の講座でも、家族会議について学ぶんですよ。
参考図書
子どものやる気を引き出すできる教師の言葉の魔法
諸富祥彦編集