中村文昭さんのCDに収められていた話しをご紹介します。
とても成績がよい小学校の女の子の話です。
その子は低学年の頃から常にトップの成績。
しかし、塾にも通ってない、家庭教師もつけていない。
周りのお母さんたちは、なぜ、そんなに成績がいいのか、何か秘訣があるんじゃないかと思ってその子のお母さんに聞いてみることにしました。
その秘訣とは何でしょう?
それを考える上で、もうおなじみのエドワード・デシの実験からヒントが得られそうです。
デシはこんな実験をしました。
学生に脳科学に関する神経生理学の内容を学習してもらいます。
その際に1つのグループには学習後、テストが行われ成績がつくと説明します。
それに対してもう一つのグループには、あとで学んだ内容を他の人に教えてもらうので、そのつもりで学ぶようにと指示がなされました。
そして実験後、学生たちの内発的動機を測定するのです。
どんな結果になったと思いますか?
あとからテストがあると説明されたグループの学生たちの内発的動機は予想通り低いものでした。
それに対して人に教えてもらうのでそのつもりで学ぶように指示されたグループは、内発的動機も高く、しかも学習内容を概念的にきちんと理解していたんだそうです。
それに対してデシは、こう述べています。
学習に動機づけようとしてテストをする教師は、はからずも彼らが援助したいと思っている人々の学習しようという意欲を奪い取っていることが、ここでも示された。
この事実は、テストによって子どもたちの学習意欲を奪いかねないことを示しています。
よかれと思ってしていることで、子供の学びたいという内から湧き出る動機を奪ってしまうのは、困りものです。
ただ、この実験からもう一つの事実が浮き彫りにされています。
学んだことを人に教えようとしたグループの者たちは、内発的な動機が高く学習内容もよく覚えていたわけです。
なぜ、そんなことになるのでしょう?
そこで冒頭の成績の良い子の話に戻りますね。
あちらこちら話が飛んでスミマセン。
なぜ、その子が成績がいいのか、不思議に思った周りのお母さんは、その子のお母さんに尋ねたのでしたね。
その子のお母さんは、子供が小学2年か、3年の時にこんな話をしたそうです。
「お母さんは、子供の頃に貧しくて学校にあまりよく行けなかったのよね、だから知らないことがいっぱいあって近所の人たちと話していても恥をかくことがあるの。だから学校で勉強してきたことをお母さんにも教えてね。」
それを聞いてその子の心の中のスイッチが入った。
「お母さんに教えてあげないといけない!」
そう思って授業中、一生懸命先生の話を聞くわけです。
ノートを取るのもお母さんに教えてあげるため!
そして家に帰ると「今日、理科の時間にね、こんなこと勉強してね、算数の時間にこんなこと勉強してね・・・」とお母さんに説明し・・・
上手に説明するためには、先生の話を集中して聞かなければなりません。加えて自分がしっかり理解していないと説明はできませんね。
それに加えて、今朝の記事で書いたように、「誰かのため」という意識があると人は強い意思を持って行動できるようにできているようです。
その点について、今朝の記事 をご覧ください。
だからその子は、お母さんのためと、集中して先生の話を聞くことができた。
家に帰ると学んだことをお母さんに話しますね。それは復習にもなったことでしょう。
だから、その子は塾にも行かず、家庭教師もつけずに成績が良かったのです。
結論ですが、テストの問題点とやっぱり、勉強の目的って考えた時に・・・
貢献意識があると子供は勉強しそう?