仕事の関係で出会った若者、T君は挨拶がしっかりできて、とてもさわやかな印象を与えてくれます。
彼はことし、大学をでて就職したばかり。
そのT君と話したことがあるんですが、小学生の時、いじめを受けたことがあるんだそうです。
いじめを受けていることを家で話したんでしょう。
それに対して、彼のお父さんがどう対処したと思います?
いじめをする子の親のもとに行って抗議する?
いえいえ、そんなことはしません。
彼に空手を習わせたんだそうです。
子供がいじめという問題に自分で対処できるように備えさせたんだそうです。
しっかりした考えを持ったお父さんなんですね。
空手などの武道を学ぶとまず、指導されるのが礼節。
道場に入ってきたときや、組手と言って2人ペアーで空手の打ち合いをしたときなど、「オスッ」と言って元気にあいさつすることが求められます。
小学生の頃からそんな習慣を身につけてきたからなんでしょう。
T君のあいさつはとても爽快。
気持ちが入っています。
あいさつがきちんとできるとそれだけで、印象がアップしますね。
きっとT君のお父さんは、そんなところまで考えたに違いありません。
それからT君は、勉強もできたそうなんですが、彼の地元には(山陰地方)国立大の付属の中学があったそうで、そこにも入ろうと思えばきっと入れたんだと思います。
しかし・・・・
お父さんの意向で地元の公立中学に行ったそうです。
そのお父さんの意向とは?
最近、中学が荒れているというので、そんな問題に巻き込まれないようにと「子どもを私立の中学に」と考える親御さんがいらっしゃると思います。
それはそれでいいと思うのですが、T君のお父さんは、違う考えなんです。
将来、社会に出たら自分の思い通りにならないこと、嫌な事がいっぱいある。
そして人間関係で悩んだり、困ったりすることがある。
でも、それを避けていたら何の解決にもならない。
問題が多いかもしれないが、公立の中学に行って、そんな問題を自分で解決する人になって欲しい。
加えて、いろいろな人の中でもまれたほうが成長する。
そんな考えの元、敢えて公立の中学に行かせたんだそうです
子供の将来を真に見据えた考えをする方なんだなと思いました。
さて、T君は、小学生から始めた空手でどんどん力をつけます。
そのため公立中学に入っても、彼をいじめるものなんてひとりもいなかったそうです。
その後、彼は勉強でもめきめき力をつけ、その地方では、1,2位を争う高校に進学し、大学は東京の有名私立大、そして就職氷河期と言われる昨今、金融系の企業に採用されたという訳です。
人生には、問題がつきものです。
でも、小さいうちはいいとして、小学生の高学年になってからも、なんでも子供の問題を親が解決していたとしたら・・・・・
これを書いていて思い出しました。
以前にもどこかで書いたのですが、11才の娘さんにあれやこれや手出し、口出ししていたお母さんが娘さんに言われた一言、
「あかあさん、わたし、なんにもできない子になっちゃう」
将来、子どもさんがどんな人に育って欲しいですか?