誰かのためなら! | ◆「生まれてきてよかった」そんな実感を持てる子に育てるヒント!◆

◆「生まれてきてよかった」そんな実感を持てる子に育てるヒント!◆

勉強だけできても意味はない!

学習のコツや勉強する意味を一緒に考えると共に

勇気づけでお子さんの健全な心も育ててあげませんか?

2011年2月27日 大島啓介さんのメルマガより転載



中3の夏帆のお母さんが重い病で昨年11月に亡くなりました。




夏帆は、お母さんが入院している時には、お母さんの看病、お父さんと弟の弁当作り、家事全般、そして受験勉強と、15歳の女の子にとってはめまぐるしく忙しい日を送っていました。



事前にお父さんから知らされていた「お母さんが長くない」という事実、信じたくなかったでしょう。



でも、それが現実になってしまいました。




312月、夏帆が塾の授業が終わった後、相談があると言って塾に残りました。そして、椅子に座った途端、彼女は泣き出しました。




「お母さんに逢いたい!」。



号泣する夏帆。




親のいない寂しさは私にはよく分かります。

私も、そばにいた同僚も涙が止まりませんでした。



少し落ち着いた夏帆に、私はこう話しました。



「夏帆、大変だったな。夏帆のお母さんが入院するという話を聞いたのは、

確か夏の日だったね。それから、3ヶ月、夏帆は学校と塾と看病と家事と

本当に頑張った。塾で夏帆を見るたびに、声をかけていたけど、

先生にはそれしか出来なかった。ごめんな」




「ある本を読んでいて、先生はいいことを知った。人間は肉体と魂に分かれているらしい。そして、人間が死ぬと、魂が天国へ行き、そこで先に行った魂は、後から来る人を出迎えてくれるそうだ。それを知り、先生は決めたことがある。先生があと何十年かして死んだ後、両親に会ったら、きっと『この世ではどんなことをしてきたの?』って聞かれると思うんだ。そのときに、胸を張って『こんなことをしてきた!』って言える様な生き方をしようって、決めた。『さすが我が息子だ!』って褒めてもらえる生き方をしようって決めた」




「夏帆はどうする? お母さんに会った時になんて言ってほしい? 夏帆のお母さんは夏帆が高校に合格するのを楽しみにしていたね。夏帆、親孝行したくないか?天国のお母さんに合格の報告しないか?夏帆ができる一番の親孝行は、高校合格やで」




夏帆は涙でボロボロの顔をあげて、「先生、私、お母さんが出た高校に絶対に入る。そして、お母さんに絶対に合格を報告する!」




夏帆は、以前は、別の高校を志望していたのですが、お母さんが入退院を繰り返すようになってから、お母さんが卒業した高校を目指すようになりました。ただ、その高校が夏帆にとってはかなり難関の高校でした。




それから3ヶ月間、夏帆は学校が終わると、夕食の準備をしてから塾に来ます。夕方7時から夜12時頃まで猛勉強を重ね、休みの日は、午前中に家事を済ませ、午後から夜12時まで勉強という日々を送りました。それまでの夏帆からは考えられない姿がそこにありました。




317日、夏帆は入学試験を終えます。




そしてとうとう、翌週24日午前10時、合格発表の時がやってきました。




朝からドキドキしながら待っていると、私の携帯が鳴り、夏帆の第一声が、




「先生、受かったよ。お母さんに親孝行できた!先生、ありがとうございました!」




「おめでとう、夏帆! よくやった! さぁ、お父さんに連絡しろ!」 




その後は、ただただ感涙でした。




誰かのために人間は頑張れる。



夏帆によって大切なことを思い出すことができました。





大好きなお母さんの笑顔のために、心からの感謝を込めて・・・



お母さん、いつもありがとう!