大原女 | 『花のほかには』-fuyusun'sワールド-

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fuyusunの『何じゃこりゃ!長唄ご紹介レポート』
自己満足ブログですみませんm(_ _)m

年代
作曲
作詞
1810年文化七年年 九世杵屋六左衛門
二世瀬川如皐


またまた、変化ものお得意の如皐の作品です。もちろん期待通りでこの作品も変化ものの一つです。

『大原女』。別名『黒木売』といわれているそうです。

京都は昔の都。でも、京都全部が町という訳ではありません。
そう、東京の高尾とか奥多摩とか、そんなような地域が京都の大原です。
京都の大原は三千院とかがあって、けっこう観光地として有名。
舞妓姿の変身とか、観光客相手に、その姿に変身してスナップなど撮るというのが流行っていますが、「大原女」バージョンなんかあるところもあります。
そんな風物姿となっている大原女が主人公の長唄です。
大原女というのは、室町時代ころから続く、京都の女性の職業の一つです。
野菜を売る“畑の姥”(はたのおば)、花売りの白川女、飴売りの桂女などの行商の女性がいたそうです。
大原女は、黒木を商いとしていたのが始まりのようです。
大原というところは、薪炭を平安京に供給する土地だったようです。という事で、炭を売り歩いていたのですね。筒袖の絣の着物に帯を前で結び、脛巾にわらじ姿。頭に手ぬぐいをかぶり、荷を頭にのせて行商。これが大原女です。
『花のほかには』-fuyusun'sワールド--大原女 この曲は早代わりもので、前半が娘が主人公で、後半が奴さんに変身するという面白い趣向の長唄です。
もともとは、江戸中村座で上演された「道中娘菅笠」という狂言の最初の大切所作事として、「奉掛色浮世図鑑(かけまつるいろのうきよえ)」という題名で演じられたものらしいです。
室町時代の絵描きの「曽我蛇足の世界」を描いたものらしく、武内大臣→大原女→平継茂→神功皇后→禿→戸隠山の鬼女などなど次々と変身して踊るという忙しい演目らしいです。
早代わりもの大好きな江戸庶民に非常に喜ばれて大好評だったらしいですよ。
曲のストーリーは…よく分かんない。
この曲は、その姿やその役の心情を表現しているので起承転結のあるストーリーは存在しません。
歌舞伎によくある、「可愛い娘○○は実は豪傑な武将○○であった」というどんでん返しのストーリーではないのは確かです。
三味線の聞かせどころで「虫の合い方」というのがあります。
「虫の合い方」という名前が付いているものって、他にもあったな。
「秋の色種」、「四季の山姥」などなど。どれも美しいメロディーです。


ちなみに、曽我蛇足について調べてみました。

室町時代後期の画家で曽我派の祖と言われている人です。

大徳寺真珠庵の襖絵『四季山水図・四季花鳥図・溌墨(はつぼく)山水図』を描いたとされている。

また、達磨の半身像の絵も有名だそうです。

もともと、越前の朝倉家に仕えていた武将。その後、一休和尚のもとで禅修行。一休和尚に絵の教授をしたとかしないとか。

曽我というと、五郎・十郎を思い出しますが、美術関係の巨匠に曽我を名乗る方がいらっしゃったのですね。

また一つ、知識が広がりました。


ところで大原というとしば漬け♪

源平の戦いで壇ノ浦で身を投げて助かってしまった建礼門院は大原に庵を構えひっそりと仏に仕えたそうです。

慰めに地元の民が、野菜等を庵に届けたそうで、彼女はそれを紫葉とともに漬け込んで漬物を作ったそうです。これがしば漬けの由来だそうです。

脱線エピソードです。