三番叟 | 『花のほかには』-fuyusun'sワールド-

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fuyusunの『何じゃこりゃ!長唄ご紹介レポート』
自己満足ブログですみませんm(_ _)m

長唄には、“獅子もの”とか“丹前もの”とか、その主題により色々なジャンルに分かれているものがあります。
“三番叟もの”は、そのジャンルの一つです。

もともと三番叟は謡曲の“翁”がもととなって作られた長唄です。
謡曲の『翁』は能であって、能ではないと言われているもので、もっともっとルーツを辿っていくと、郷土芸能のようなものだったようです。
国土安泰、五穀豊穣を祈願する奉納芸能と言えば分かりやすいかも。という事で、神事に則っての構成となっています。

この“三番叟もの”の登場人物は、翁・千歳・三番叟の三人です。この人たちは、住吉神社の三人の神様だと言われています。しかし、もっともっとルーツを探るとチベットに、そのルーツがあると言われています。
チベットにどうも『サンバソウ』という古い曲があるのだそうです。瑞祥作成(ずいしょうさくせい)という意味らしい。この瑞祥というは広辞苑によると「目出度いしるし。吉兆」という意味らしいです。つまり、このチベットの曲は吉兆を作るという意味なんでしょうね。
“三番叟もの”は国土安泰・五穀豊穣を祈願するご祝儀曲。この『サンバソウ』がルーツ・・・頷けます。

三番叟には「とうとうたらりたらりら、たらりあがり、ららりどう」という意味不明な歌詞があります。
祝言の呪歌なのだそうですが・・・つまり、呪文?・・・
以前、これはお囃子の唱雅だと聞いた事がありますが、まあそう言われれば・・・。(´へ`;)ウーーーン
長唄研究で有名な淺川玉兎氏の本に玉兎氏自身も「まさかね・・・」と言いつつ、例のチベットの古曲「サンバソウ」という曲に「トブトウタラリタラリヲタラリアガレリヲリトウ」という歌詞があるそうです。日本語に訳すと「獲物は輝き輝きて輝き、ああ、いづれも様に寿あれや」というような歌詞で、踊り手がこの歌詞を唄いながら観客の幸せを願うのだそうです。
玉兎氏は「まさかね」と言っていましたけれど、この歌詞が引用されたという説があるそうです。
お囃子の唱雅と言うよりはこっちの方が説得力があるなと思いました。
「三番叟とは何?」と疑問を持ち、色々調べたらチベットに行き着き。面白いなぁ♪

長唄には
『翁千歳三番叟』、『雛鶴三番叟』、『舌出し三番叟』、『操り三番叟』などなど、数多くの三番叟ものがあります。
どの曲も、能(?)の式三番叟の形式に則っています。
式三番叟の形式。
Ⅰ序段:登場人物が全員出てきて座に着く。
Ⅱ翁の段
まず、千歳の舞(翁の露払い役として、千歳が舞う)があった後に、翁の呪歌があった後、翁が祝言の舞を舞う。
Ⅲ三番叟の段
揉之段で、三番叟自身が露払いとして舞、三番叟の呪歌があった後、鈴之段で三番叟が祝言の舞を舞う。
こんな構成になっています。

私は、この三番叟ものが大好きです。
聴いていても、演奏していても幸せ気分になれるからです。
三番叟には「三番地」と言われる独特な手が繰り返して使われます。これが好きなんですね。
ずっと聴いていると、どんどん気分が高揚してくる。なんか、心に熱いパワーが漲ってきます。
私・・・、きっと洗脳されやすい体質なんだろうなぁとふと思っちゃいます。
しかし、この三番叟もの。能楽の世界では非常に神聖な重い曲として扱わられているそうです。
日本は神聖なものに女性が携わることを忌み嫌う風習がありますよね。
という事で、能楽の世界では女性が演じるのを禁じたり、色々制限されたりする場合があるのだそうです。
大好きなのに・・・。
でも、長唄系ではそういった事がないので、ちょっとラッキー。いつか舞台で演奏してみたいです。