【短歌】O氏の書斎 | monologue~宥生のひとりごと~

monologue~宥生のひとりごと~

短歌、はじめました

ノックせず入れば故人に会へさうで静かに書斎のドアを開けたり

椅子の上(へ)で本を読みゐる頭骨が自画像として描かれてをり

背をまるめ紙の器に注ぐならむ万年筆の青き情熱

本棚のガラスに映るわが胸に鬼とふ文字が透きとほり見ゆ

古書を這ふシルバーフィッシュの胃のなかで蠢くものの声を聞きたし





他界された作家の書斎を再現した部屋を訪れました。
この方は地元の文化活動にも尽力された方で、その遺志を継がれている方からこの書斎へ行くことを勧めていただいたのがきっかけです。

書架に、歌人・馬場あき子さんの「鬼の研究」がありました。

頭蓋骨の自画像の上には「言葉は光」と大きく墨書されていました。

ご存命のうちに一度お会いしたかったです。


※シルバーフィッシュ=紙魚
※言葉は光=ヨハネ記の中の言葉