お弁当やお惣菜を売っている小さなお店「こはな」では特別なお弁当を手に入れることができる。でも、このお弁当屋さん…普通じゃない。
「お弁当」にまつわるショートショートを17話収録した本。
【目次】
●プロローグ/人質お弁当/王様のお弁当/うそつきのお弁当/終末のお弁当/交換お弁当/おしたいお弁当/ハート撃ち抜くお弁当/祝福のお弁当/仕返しお弁当/バースデーお弁当/桜の下のお弁当/TSUNDERE BENTO/アイドルのお弁当/続・おしたいお弁当/雪解けのお弁当/エピローグ
「こはな」というお弁当屋さんが、多くの人にお弁当で奇跡&幸せを起こす話。
札幌が舞台の小説「弁当屋さんのおもてなし」と同じく、読んでいたら、つくづく、こんなお弁当屋さんが家の近くにほしいと思っちゃう。
近くにあるのは、ほっかほか弁当ととかそんなチェーン店ばかりだもの。
人の悩みに寄り添ってくれるお弁当屋さんがあったら、ほんといいのにね。
2024-17 ほどなく、お別れです 著:長月天音
読んだ人すべての心を温かく包み込む“お葬式小説”
全三篇+ α で紡がれる葬儀場を舞台にした物語は、作家が大学時代に得た経験を元にしている。
「第一話 見送りの場所」に登場する遺体は、不慮の事故で亡くなった妊婦。
「第二話 降誕祭のプレゼント」と「第三話 紫陽花の季節」でも、寿命による死ではなく、若くして突然の死を迎えることとなった方の遺体が「謎」を連れて来る、という共通点がある。
お年寄りの葬儀は、もちろん悲しみはあるにせよ、参列者の方々は死を受け入れることがなんとなくできている。
一方で若い人が亡くなった葬儀は、雰囲気がまったく違い、故人がこの世から突然いなくなってしまった衝撃で、気持ちの整理ができていない。
その衝撃や悲しみを、いかに癒やすことができるか?
告別式の良し悪しは葬祭ディレクターの腕次第だと実感している私ですが、
この小説により、改めて、葬儀ディレクターが、とても尊い仕事だと感じさせてくれます。
2024-18 ほどなく、お別れです ~それぞれの灯~ 著:長月天音
人よりも“気”に敏感な体質を持つ清水美空が、スカイツリー近くの葬儀場・坂東会館で正社員となり働き始めて一年が経とうとしていた。
葬儀場が繁忙期を迎える真冬のある日、美空は、高校の友人・夏海と偶然再会する。はしゃぎながら近況報告をし合う二人だったが、美空が葬儀場で働いていることを聞いた夏海は一転、強張った表情で美空に問う……「遺体がなくても、お葬式ってできるの?」。夏海の兄は、海に出たまま五年以上も行方不明だった。家族の時間も止まってしまっているという。
交通事故に遭った高校生、自殺した高齢女性、妻と幼い息子二人を遺し病死した男性、電車に飛び込んだ社会人一年目の女性……それぞれの「お別れ」に涙が止まらない、あたたかなお葬式小説。
1作目が面白かったので、続けて2作目も。
美空ちゃんが、葬儀場のスタッフとして成長していく過程が描かれています。
結婚式場の小説は何冊か読んだことがあるけれど、葬儀場の小説は初めて読んだかな?
葬儀の裏話もいろいろわかって面白い。
第3弾も出ているので、また読むのが楽しみ。