19日に久しぶりに7月大歌舞伎夜の部を観ました。急性咽頭炎で4日間休演していた海老蔵が復帰した日でした。

「星合世十三團」は「義経千本桜」の通し狂言を娯楽性に富んだ新たな現代版の演出で4時間半にも及ぶ作品にまとめあげ、しかも主要な13人を海老蔵が早替わりで演じる、無謀な挑戦とも言える作品です。

 

何年か前にこの作品の構想を熱く語っていた海老蔵をテレビで見たことを思い出しました。長すぎるとの声もあると聞きましたが、私には海老蔵はきっとまだまだやりたいことがあるのをなんとかこの長さに収めたように見えました。彼の歌舞伎を牽引していく覚悟が伝わってきました。これは彼しかできない歌舞伎史上に残る名作になることでしょう。再演を繰り返してここから削っていってさらにブラッッシュアップしていってほしいです。

 

それにしても、なんとハードな作品なんでしょう。しかも昼の部にも勸玄くんと出演しているし、身体が心配です。舞台人は熱があっても多少の怪我も関係なく舞台に立ちます。でもさすがに声が出なくなって休演せざるを得なかったのは、少し休まないとという天の計らいだったのかもしれませんね。

最後の方のシーンで、源太郎狐になり鼓と無邪気に戯れ、嬉しそうに宙乗りになるシーンがあります。海老蔵自身が4日振りに舞台に立てたことがうれしくてたまらない、あらためて舞台に立てることの喜びを表しているようにも見え、思わず涙がこぼれました。

そして普通ならそこで終わる演出が、さらにプロジェクションマッピング、そして最後の歌舞伎座がぜーんぶ桜吹雪で覆われる演出は圧巻でした!!

 

海老さま、そして出演者、関係者のみなさま、どうぞ千秋楽まで無事に駆け抜けてくださいませ!