いやぁ、やってくれましたウォシャウゥキー兄弟!
40年前のアニメを現代の映像技術で蘇らせたらこうなりました!
もう、それだけ。

正直言うと、原作の「マッハGo!Go!Go!」は、漠然とした記憶しか無いのですよ。
リアルタイムで熱狂したのは、私より少し上の世代じゃないかな。
ちょうど50歳くらいの方々。

覚えているのはあの白いオープンボディのスーパーカーが、
崖っぷちのコースを走っているところだったり、
前からのこぎり出しているところだったり、
足が出て来てジャンプするところだったり、
なんかツバメみたいなやつを飛ばすところだったりで、
ストーリーなんかは、一向に覚えていない。

だから、この映画がどれだけ原作に忠実かはわからないんだけど、
上述の印象に残っているシーンはぜ~んぶ網羅されていたので、
ウォシャウスキー兄弟も、かなり衝撃を受けたんだろうなぁ。

さて、肝心の映画の方ですけど、細かいことは言ってはいけません。
だって、これはアニメの実写版なんですから!

その理解の上で見ると、もう最高!

はなっからリアリティなんて無視した極彩色の世界。
わざわざCG臭さを残した映像はダテじゃありません。

サーキットはアスファルトではなくて、まるでジェットコースターの
コースのように空中をはしる金属の板。

その上を、車体をぶつけながら、クルクルと回転しながら
駆け抜けるチョロQのような動きのレーシングカー。

その上で、足が飛び出してジャンプしたり、ド派手にクラッシュしたりと
どハッタリをかまして来るから、タマりません。

この“ブッ飛び感”と“何でもアリ感”!

その上、これだけ好き放題やっていても、主人公の乗るマッハ号だけは
ちゃんと目で追いかけられるように徹底的に計算された絵作りをしています。
敵味方がわかりやすく、マッハ号を探すのに苦労することもなく、目も疲れません。

カーレースというよりはなんでもありのサバイバルゲームですから、
あり得ない仕掛けが次々飛び出す、アニメならではのお楽しみも
ハラハラドキドキ感に一役買っています。


さらに、ストーリーをもり立てるキャラクターも最高!

家族を包み込む慈愛にあふれたお母さんに、
気は優しくて力持ちの頑固親父に、食いしん坊の末っ子、
可愛くて主人公にゾッコンのガールフレンド、
金にものを言わせて何でも思い通りにしなければ気が済まない悪玉等、
キャラクターも徹底的にステレオタイプ。

それでいて、途中に裏切りもあり、一本芯の通ったところもあり、
子連れの大人が見ても納得できるちょっとした深さもあります。

個人的にはガールフレンドのクリスティナ・リッチが可愛かったなぁ。
あんなぶっ飛んだ彼氏にゾッコンなだけに、
実は本人もぶっ飛びキャラだったなんて最高じゃないですか。


まぁ、とにかく、この映画はノリに付いて行けないとその楽しさは
理解できないでしょうねぇ。

逆にこのノリをキャッチできた人には最高の映画じゃないですか。
主題歌のアレンジも最高だし、レトロフューチャーな小道具もたまりませんね。

スピードレーサー最高!



最後まで読んでくださったあなたに、全ての良きことが雪崩のごとく起きます。
私は韓国映画は評価してないのです。

この映画は邦画ですが監督が韓国人のクァク・ジェヨン氏ということで、
テイスト的には韓国映画になるんだろうと思ってましたし、
やっぱりその通りでした。

じゃぁ見に行くなということになるのでしょうけど、
私は20数年前に「ターミネーター」を公開直後の映画館で見たくらい、
こういうB級のSFロボット物が大好きなのです。

ましてロボットがかわいい女性となると見に行かざるをえないでしょう(笑)。
(ちなみにタイトルのサイボーグは人間の一部を機械に置き換えた人のことで、
明らかに間違いです。音の印象で選んだんだろうけど、ならアンドロイドとか
ヒューマノイドってしてほしかった)

そんな私から見て、この映画はがんばっていると思います。

もちろん突っ込み所は満載だけど、
ノリと勢いで突っ走るのがB級のB級たるところ。

その意味でいえばB級を標榜しながら、
テンポの悪い某スキヤキウエスタンより何倍も楽しめました。

何より綾瀬はるかちゃんがめちゃめちゃ可愛い。
もう、それだけで映画観た価値がある。


綾瀬はるかちゃんって、客観的に見たら、彼女より可愛い、
あるいは、綺麗な人はいっぱいいるでしょう。
例えば上野樹里ちゃんとか。

でも綾瀬はるかちゃんには華があるんだよね。
監督さんも彼女を撮りたかったんじゃないかな。
サービスカット(変な意味じゃないよ)いっぱいだもの。

それに演技も上手い。ロボットの時は瞬きしないし、
マネキンの真似は蝋人形かと思ったもの(笑)。

甲高い声で損してるけれど、急にわき起こる感情とか、
徐々に落ち着いていく様とか、あ、こんな子いるなぁと思うし、
ロボットが彼との同居で徐々に表情豊かになる様子とか、
主人公のジローじゃなくても種の壁を越えたくなりますよ。

彼女の演技があったから、小出くんの彼女を好きになるほど
彼女との距離を感じるせつなさ、苛立ちが映えるんだと思います。

それに彼女には同世代の女優さんではちょっと難しいだろうなぁと思う、
カッコイイたくましさというか、頼もしさというかがありますね。
柴咲コウちゃんがいくら頑張って少林拳のアクションしてもそうはならないでしょ。


そして、映画の設定もストーリーも面白い。
この手のモノにありがちなタイムパラドクスは完全に解消していませんが、
今に焦点を当てながら、うまくタイムパラドクスを逆手にとって
どんどん違う未来が作られていってると解釈すると納得できる範囲。

まあ、たしかにちょっとわかりにくいけど
(誕生日のケーキシーンを入れるから混乱するんだよ!狙いか?)、
B級映画なんだし、そこはノリと勢いで…(^^ゞ

それに「ターミネーター2」的なメッセージもなかなかに良かった。

たしかにラストのハッピーエンディングを見ると、ちょっと霞んじゃうけれど、
それはサラッと終わっているし、あの2度廻しの演出もいいし、いいバランスだと思う。
(もうちょっと未来での心理描写がないと、ついていけない人多いと思うけど…)

賛否両論のラストだけど、あれも「ここからは君たちが未来を作るんだ」
というメッセージだと受け取れたので、私的にはOK。

むしろ、あのラストでないと冒頭のシーンが無意味になっちゃう。
(レビューの評価が低い人はこの映画がパラレルストーリーだって
分かってないのかな?)MISAの音楽もぴったりだったし。

その点でも古典的なSFのテーマ、モチーフを扱いながら、
新しい視点を取り入れていて面白いと思いました。


それだけに残念なのが、韓国映画特有の異常に説明的な過剰演出。
特に前半に目につきました。国民性の違いでしょうか?
しらけちゃうんですよ。映画から引いてしまう。

まず、サウンドエフェクトがアニメみたい。
そして、そこまでやったら大事件になってるわい!
っていう漫画みたいなシーン。特にそれが多すぎて、笑えない。

そんなことしなくたって、彼女がロボットである可笑しさとか、
力強さとか、いくらでも出せるでしょうし、そうした方が
B級でも大人の鑑賞に堪えられる映画になったと思う。

それからやたらめったら堂々と窃盗したりするのもどうかと。
未来から来たから金はない、服なんかも手に入れたいっていうのはわかるけど、
もうちょっとやりようがあるでしょう。

共犯意識を持つために、いたずらにリンゴを盗む程度なら
演出の範囲だとは思いますが、ああいうのはやり過ぎですねぇ。

後半、畳み掛けるようにおこる事件からのB級映画なりの感動や、
ドラマチックさをスポイルしてしまっています。

この映画って「ターミネーター」へのオマージュもありますけど、
そういう点で細部への配慮がなさ過ぎて、残念ながら遠く及ばない。

最初の「ターミネーター」って、すごい低予算のB級映画だったけど、
(後半のストップモーションなんて、当時のレベルから見てもお粗末)
ああいう余計な過剰演出はなかった。

当時のキャメロンが、このキャストで撮ったなら、
「ターミネーター」のようなB級の名作になってただろうな。

マジで、それくらいのポテンシャルはありますよ、この映画には。
それだけに非常に残念ですね。

監督のクァク・ジェヨン氏が脚本も手がけているそうですけど、
一度、イギリスでもフランスでもアメリカでもいいから行って、
韓国映画の垢を落としてくるといいかもしれませんね。


ちなみに、この監督さん、邦画ということからか、
エヴァンゲリオンを相当意識していますね。

綾瀬はるかちゃんの未来スーツ(&髪型)は完全に綾波だし、
冒頭のシーンのワンピースや台詞(「守ってあげる」
「あなたバカでしょ」)はアスカだしね。

ま、綾瀬はるかちゃんがかわいいからいいんですけどね。


最後まで読んでくださったあなたに、全ての良きことが雪崩のごとく起きます。
『ショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記』

これは、前作以上に楽しい映画ですねぇ。遊園地のアトラクションみたい。
インディー・ジョーンズに近づいて来たと言えばいいかしら。

前作は1ドル札の図案の謎とか、わりと誰もが見ることができて、
本当に不思議なモチーフを追いかけていたけれど、
今作では、そのあたりがフツーというか、ありきたりというか、
どっちかって言うと「トンデモ」ネタなんですよ。

だから、前作の「マジ?」っていうワクワク、ドキドキ感はなく、
その分、徹底的に「ありえねーだろ」っていう設定だったり、
謎解き(トントン拍子で解ける)だったり、アクションだったりを
練り込んであるので、家で見るのにちょうどいい楽しさです。

そういう意味では典型的なディズニー映画で、
エッチもないし、人も死なない。安心して子供と見ることができますよ。


『ショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記』
子供と一緒に楽しむための冒険ファンタジーです。

でも、ほとんどワシントンの近郊が舞台の箱庭映画でもあるんですよね。


最後まで読んでくださったあなたに、全ての良きことが雪崩のごとく起きます。