国内最大の指定暴力団山口組(直系組長72人)が分裂した。離脱した13団体を中心に近く新組織を発足させる。警察庁は2日、全国の都道府県警の担当課長を集めた緊急の対策会議を開き、抗争への警戒を強めている。暴力団排除の取り組みが広がり、組が資金集めに苦しんでいる現状も分裂劇の背景にある。

 「暴力団の弱体化、壊滅に向けた取り組みをさらに強化してほしい」。警察庁の樹下尚(きのしたたかし)・組織犯罪対策部長は2日、抗争による市民の巻き添えや警察官の負傷を防ぐよう都道府県警の担当課長ら約80人に求めた。

 新組織をつくるのは山健組(神戸市)や宅見組(大阪市)、侠友会(兵庫県淡路市)など。新組織の組員は約3千人、準構成員らも合わせると約7千人で、これまでの山口組全体の3割にあたる。

 山口組には篠田建市(通称・司忍)組長(73)の出身母体・弘道会(名古屋市)をはじめ極心連合会(大阪府東大阪市)など59団体が残る見通しという。

 捜査関係者によると8月27日午前0時から、神戸市北区で山健組の井上邦雄組長(67)ら離脱する組の幹部が結成の儀式を開催。山口組は同日、緊急の執行部会を開き、井上組長や宅見組の入江禎(ただし)組長(70)ら5人を最も重い「絶縁」、8人を「破門」の処分とし、分裂が決定的になった。

 「山口組内では、金をめぐる不満が募っていた」と捜査関係者は話す。

 1992年に施行された暴力団対策法では、用心棒代の要求や地上げなど組の威力を示した資金集めが禁じられた。さらに2011年10月までに全都道府県が暴力団排除条例を施行。暴力団に利益供与する企業や市民も罰することになり、多くの暴力団が資金集めに苦しむようになった。業界のルール作りが進み、組員の銀行口座の開設、不動産取引、生命保険契約などを認めないなど、暴力団排除の取り組みも広がった。

 そんな中、弘道会は土木建設、飲食、風俗など幅広い業界に参入。資金力を築いたとされる。

 05年の篠田組長の就任後、山口組は内部の統制を強化。執行部の方針に従わなかったり、月100万円前後の会費の納入が困難になったりした多数の直系組長が処分された。

 最近は執行部のうち3人が弘道会の歴代会長になり、総本部を名古屋に移したり、井上組長を執行部から外したりしようとする動きも出ていた。山口組系暴力団幹部の一人は「すべて弘道会の都合のいいように決められ、特に関西の古参組長らの間に反発が強まっていた」と話す。

 警察当局によると新組織は「神戸山口組」の名称が検討されており、山口組と同じ代紋を使う方針。警察当局は、新組織と山口組との対立は避けられないとの見方を強めている。

 ある捜査幹部は「離脱する側は『本来の山口組に戻す』という理屈で仲間を増やそうとしているし、弘道会側は『出て行けば飯が食えなくなる』と切り崩しを図っている。揺らいでいる組もあり、しばらく目が離せない」と話す。

 ■「指定暴力団」認定には時間 抗争警戒強める警察

 山口組をめぐっては85~87年、「山一抗争」と呼ばれる分裂騒動があり、暴力団関係者91人が死傷。抗争終結後の騒動で複数の市民や警察官が巻き込まれた。警察庁によると95年以降も、暴力団の抗争の巻き添えで死亡した市民や警察官は3人、けが人は6人にのぼる。

 山口組の宅見勝若頭(当時61)が97年、神戸市のホテルで射殺された事件では、歯科医の男性(当時69)が死亡。佐賀県武雄市の病院では07年、入院中の男性(当時34)が暴力団関係者と勘違いされ、射殺された。

 捜査関係者によると、東京都内の山口組系の勢力は執行部派と新組織派とに二分されているという。執行部派の山口組員の一人は「当然、(離脱した)山健組を排除する動きになる。事を構えることになれば、前に出なければならないのが我々の世界」と語る。

 都内に本拠を置く指定暴力団の住吉会と稲川会。山口組傘下組織と友好関係にある団体もあるため、頭を悩ませる組関係者もいる。ある住吉会系組幹部は「山健組とは昔から交流がある。非常に難しい対応を迫られる」。住吉会、稲川会ともに、一部の傘下組織が新組織の支援に回るとの情報も流れた。

 ただ、今のところ目立った動きは起きていない。両団体とも、山口組から分裂した組織への接触は控えるという立場を取る見通しだ。「親分である司忍組長への裏切り行為。この業界では許されない」(稲川会系組幹部)

 一方、山健組の地元神戸市の周辺住民の不安は強い。組事務所前では10年11月、手投げ弾が爆発し、周囲の住宅の窓ガラスが割れるなどの被害が出た。70代主婦は「今度も何が起こるかわからない」と心配する。

 12年施行の改正暴力団対策法では抗争を起こした組を「特定抗争指定暴力団」に指定できるようになった。警戒区域で組員がおおむね5人以上集まったり、事務所に立ち入ったりすれば即逮捕が可能だ。ただし都道府県公安委員会が指定した「指定暴力団」であることが条件になる。

 新組織をいつ指定できるかは不透明だ。指定には、威力を用いて資金を得ている▽前科のある組員が一定以上いる――ことなどを立証する必要があり、これまでは1年以上かかってきた。

 警察当局は新組織を山口組の一部と捉え、規制対象にすることも検討している。しかし、結成が関係団体に周知され、構成員がはっきりしてくると別団体とみなさざるを得ず、適用は難しいとみられている。また抗争にならなくても、指定暴力団と認定されるまでは組員の不当要求に対する中止命令などは出せない。

 警察幹部は「離脱した途端に暴対法の対象外になるのでは理解を得にくい。指定する場合は極めて迅速に進めなければならない。あらゆる法令を駆使して不法行為を摘発する」と話す。

 ■転換期の象徴的な事件

 暴力団に詳しいジャーナリストの溝口敦さんの話 暴力団排除の取り組みが進み、山口組の名前で資金集めができる時代ではなくなった。それなのに直系の組は上納金などを厳しく求められ、批判すれば処分が待っている。今回の分裂は、そんな転換期の暴力団に起きた象徴的な事件だ。離脱した組は、収奪の厳しさに耐え難かったのだろう。傘下の組員の不法行為に組長の使用者責任が問われる時代。抗争の号令はかけにくいが、資金源の取り合いでいざこざ程度は起きうる。イタリアではマフィアの存在自体を法律で認めていないが、日本の暴対法は暴力団の存在を否定せず、法の中で管理しようとしている。暴力団を根絶できない原因はそこにある。

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 <山口組> 警察庁によると2014年末時点の組員は約1万300人、準構成員らを合わせると約2万3400人で全国の暴力団関係者の43.7%を占めている。勢力は山形、広島、沖縄3県を除く44都道府県に及び、国内21の指定暴力団の中の最大組織。

参考URL:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11945101.html
 民間企業に就職したと思ったら、配属先は「自衛隊」だった――。防衛省が密かに検討していた「徴兵プログラム」が国会で取り上げられ、大騒ぎになっている。

 明らかになったのは26日の参院安保法制特別委。共産党の辰巳孝太郎議員は、防衛省が13年7月に作成した「長期 自衛隊インターンシップ・プログラム(企業と提携した人材確保育成プログラム)」と題した資料を掲げて質問。資料には「プログラムのイメージ」として、最初に「企業側で新規採用者等を2年間、自衛隊に『実習生』として派遣する」とハッキリ書いてあり、ほかに「自衛隊側で、当該実習生を『一任期限定』の任期制士として受け入れる」「自衛隊側は当該者を自衛官として勤務させ(略)」とあった。

 つまり、新入社員らを2年間も自衛隊に強制勤務させる仕組みなのだ。これが会社の「業務命令」なら、拒否する社員は少ないだろう。誰がどうみても「徴兵制」だ。「防衛省側のメリット」では「将来的には予備自(衛官)としての活用も視野」とあった。予備自衛官は14年度末時点で約3万2000人と、定員(約4万8000人)の7割にも満たない。安保法案が成立すれば「米軍と一緒に戦争するのはイヤ」と自衛官離れは加速する。それを防ぐため、防衛省が「画策」したのは明らかだ。

 安倍首相は25日の参院特別委で「徴兵制、徴兵制と、はやす人々は全く無知と言わざるを得ない」と言っていたが、防衛省自身が「インターンシップ」というゴマカシ言葉を使って実質的に「徴兵制」を検討していた事実をどう考えるのか。

 中谷防衛相の答弁によると、資料作成の理由は、経済同友会の前原金一専務理事(当時)から「関心が示された」ためだったという。経済同友会といえば、幹部が安倍と度々、メシを食っているし、前原氏は昨年5月の文科省会議でも、奨学金の延滞者をめぐる問題で「消防庁とか、防衛省などに頼んで、1年とか2年のインターンシップをやってもらえば」と発言していた。経済同友会は、円安と株高で一握りの大企業をボロ儲けさせてくれる安倍政権を「側面支援」しよう――と考えたワケじゃないだろうが、安保法案で自衛隊員のリスクは確実に高まる。中谷防衛相は否定したが、「サラリーマン自衛官」が戦いに巻き込まれる可能性はゼロじゃないのだ。

「企業を通じて戦地に(若者を)送るようなシステムを一経営者に提案をする発想そのものが恐ろしい」

 辰巳議員はこう指摘したが、その通り。安保法案の成立を前提に勝手に自衛隊の海外派遣の計画をシミュレーションしていた防衛省だ。「隠れ徴兵制」の導入も狙っているに違いない。やはり安保法案は何が何でも潰さないとダメだ。

参考URL:http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163195
 株安が進む中、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は25日、公開市場操作で1500億元、日本円でおよそ2兆8000億円を供給しました。金融不安を払拭する狙いがあるとみられます。

 中国人民銀行は毎週、火曜日と木曜日に公開市場操作を通じ、市場に資金を供給したり引き上げたりしています。

 先週18日と20日は、1年7か月ぶりとなる1200億元の大規模供給を行い、25日はさらに300億元積み増しました。

 世界同時株安の進行や、先日行った人民元切り下げに伴い国外への資金の流出が懸念されるなか、金融不安回避に向けて手を打った形です。

 中国経済に対する先行き不安が増す中、市場関係者や一般投資家からは政府によるさらなる景気刺激策や株価下支え策に注目が集まっています。

参考URL:http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2570777.html