職場の大学には「労作教育」というのがあります。

これは身の回りの整理(例えば寮清掃、風呂掃除など)や花壇や畑のお手入れ、学校の清掃、食堂の厨房手伝いなど、生活に役立つであろう作業を行うことで、生活力を身につけたり、働くということを考える時間とするために行っています。

1週間で3時間くらいなのですが、労働意欲は低く
それに下級学年は授業のコマの一部で実施しているのですが、必修であるにも関わらず単位化されていないのでモチベーションも上がらず

でもまあなんとか学生達は、受け入れなくてはならない現実に直面して受け入れてくれており、我々としても、社会で働く中で自分自身に気づく事って色々あるだろうから、と大きく見守っています。


先日、私が所属する労作部門で
「労作時間を振り替えて早く帰りたい」
と言い出した学生がいました。

でも当然ながらそう考える学生は昔から少なくないわけで、
早く帰りたいのはみんな同じ気持ちなのです。

それを認めてしまったら、歯止めが利かなくなる恐れが有ります。
「言えば自分の都合の良いようにしてくれる」という甘えが出てきます。
そんなのは社会では通用しない。

それに振替という方法はあくまでもこちら(教職員)側の配慮であって、単位を落とさないための最終手段です。
しかし学生はまるで自分の当然の権利のように言ってきました。(そうじゃないだろ~!)

   

責任者へ報告し、さらに上へ挙げてもらって相談したところ
「それは理由にならないので断る
という事になり、本人に“その理由は認められない”と話をしました。


              


昨日、振替を申し出て断られた学生が労作へやってきました。
まあ断った職員に目を合わせないのは当然のこと(苦笑)

すると一緒の班の学生がやってきて声をかけていました。

「あれ?帰らなかったんだ!」

「う、うん・・・

「よかった~みんな帰っちゃうと3人になっちゃって大変だから、実は困ってたんだ~


彼女は気づいたみたいです。
自分は早く帰りたい。
だから振替すれば単位はもらえるからいいんじゃないか。
だけどそれをすると気づかぬうちに周りの人に迷惑をかけていたかもしれない、ということを。


教職員がそのことを話して聞かせるのは簡単です。
しかしそれは彼女にとっては「聞かないふりをすることができる」話でしょう。

私はこの会話を聞いた時に、気づけてよかったなあ、という気持ちと、声をかけて素直な気持ちをさらっと言ってくれた学生に感謝しました。

              

学生達はひとりの人として、看護師として成長するために、無条件で助けてくれる友人や仲間を学生生活の中で見つけ、一緒に苦労していきます。
それは人生をより豊かにすることでしょう。

私自身も教えるだけではない「学ぶ」ことを考えさせられました