白石一文さん 私という運命について

今まで、多くの白石一文さんの本を読んできましたが、この「私という運命について」という本、もっとも

感動し、深く、私は自分の大切な人に読んでもらいたいと思った本です

運命について…考えさせられますまずはあらすじから紹介しようと思います

男女雇用機会均等法成立後の一期生として、大手メーカーに総合職として入社し、営業部勤務を続ける亜紀（29歳）は、２年前に別れた、かつての恋人・康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。間もなく式を挙げる康も、そして相手の女性もともに亜紀の同僚であった。かつて交際していた時期に、康の実家に二人で行ったことなどを思い出す亜紀だったが、その実家からの帰途、康からのプロポーズを断ったのは他ならぬ亜紀だった。別離後は特に何事もなくそれぞれの毎日を送っていた二人だったが、ここにきて、久しぶりに会った康の口から、亜紀は思いがけない言葉を耳にすることになる。結婚式には出席しないで欲しい、なぜなら、康の母が、未だに亜紀に執着し、何としても康とよりを戻して結婚して欲しいと願いつづけているからだという。思い起こせば、別れてしばらく経った頃、康の母から長い手紙をもらい、冒頭を読んだだけで、どこかにしまい忘れていたことを思い出した亜紀は、２年を経て、その手紙を最後まで読むことになる。その手紙には、丁寧な文字で、「……あなたを一目見た瞬間、私には、私からあなたへとつづく運命がはっきり見えました」とあり、息子・康との結婚を改めて考えて欲しい旨が、切々と綴られていた……。その後、転勤した先の福岡で婚約寸前までいったデザイナーとの恋と衝撃的な別れ、亜紀の弟夫婦の悲劇的な結末などを織り交ぜながら、息を呑む衝撃のラストシーンへと向かう圧巻の900枚。
読書の“醍醐味”、人生に匹敵する長編小説の“凄味”に、圧倒されること必至の傑作長編！

この小説は小説でありながら、実際の世界や日本に起こった出来事も織り交ぜながら描かれる10年間の女性の人生です

宇多田ヒカルが突然、流星のごとく出てきた話だったり、長野オリンピックのことだったり…

でも何より主人公亜紀の20代後半から40歳までの人生の中での運命の流れが本当にジーンときてしまいます

亜紀は2回も男性にぽろポーズされますが、2回も断ります

その時に亜紀が友人から言われる言葉…

「亜紀さんは、どうして結婚しないんですか？」

「ピンとくる人がいなくて…」

「まだ運命の人に出会っていないのか、すでに出会ったかれども、気づかなかったのかどちらでしょうね。

でも大丈夫ですよ。本当に運命の人なら必ずまた出会うはずだから。」

亜紀は脳裏に康と淳平が浮かびます…

亜紀は、小説の中で、何度も選択を退けることを選びます。自分の気持ちに正直になって、後悔もし続けます。

でもラストシーンを読むと、彼女は40歳となって、自分の運命を自分の力で変えることができているのです

この小説の中で、20代は夏、30代は亜紀、40代は冬と表現されているところも、なんだか深く考えてしまいました…

最後のシーンは胸が熱くなります

ぜひ皆さん、この傑作、読んでみてくださいね