私ね、高校生の頃からWHITE JAMの曲を聴いていて、一番初めに知った曲は『渋谷集合』という曲でした。それから色々と楽曲をあさり、一番初めに好きになった曲は『HEY LAS』と『セルアウト』。一番泣けた曲は『最高欠作』。一番WHITE JAMをカッコいいと思った曲は『Die in Tokyo』でした。

だからね、9月20日に発売されたSHIROSEさんのソロアルバムを初めて聴いた時、率直に言って「え、この人なにしてんの!?」と思ったんです。

実は『こっちおいで』とかアニ文字を始め出したあたりから既に、先輩に対して失礼ながらも「この人大丈夫?」と思っていたんですけど、『Tattoo』のMVを見たときはもう呆然としたというか、なんというか、出来ればどこかへ逃げたかった。



というのも、曲の出だしでもうそんなそんなそんなんなってて、あと残り4分30秒もあるのに、そんなそんなそんなんなってて大丈夫!?すでに布きれ一枚も着てないけど!?という心配と衝撃の混じった恐怖心でいっぱいだった。

-ミュージックビデオを見て、お化け屋敷にぶち込まれた時と同じ反応をしてしまったのは初めてだった。-

私はとても卑しい乙女な部分があるので、お化け屋敷は怖いという"建前"で生きているのですが、本当はめっちゃワクワクしてるんですよ。本当はめっちゃ好きなんです。でも、人前では「キャー!怖い!見れない!」という反応をちゃっかりやってしまう。『Tatoo』のミュージックビデオを初めて見た時も、誰もいない部屋でちゃんと純情ぶってしまいました。普通にエロ過ぎて、ガチな反応をするのが恥ずかしかったんですよね。その結果、1回目を見終えた時は嫌悪感が凄かった。いや、本当は嫌悪感じゃないんだけど、「嫌悪感を抱いた」という"建前"が必要だった。

その後、『Tattoo』の歌詞をじっくり読んで、気付いたことがあるのですが、こういう男は当たり前にモテる。しかも、なにが憎らしいかって、本人はいたって無邪気なので、モテていることに気付いていないところ。

それも、普通の「モテる」とはまた違う。モテるというと「チヤホヤ」といったイメージがあるが、SHIROSEさんの場合は「全員がガチ」になる不思議な魅力がある。そんだけ夢中にさせる魅力があるんで、マジで下手すりゃ刺されますし、私の考え得るSHIROSEさんの死因は逆恨みで刺される一択ですね。

これはSHIROSEさんにとっては嬉しくないことかもしれませんが、SHIROSEさんはブランド品なんですよ。デザイン自体の良さを理解してなくても、みんなが欲しがるから欲しいし、手に入らないから欲しいみたいな。そしてまたSHIROSEさんはね、リスナーを普通の女にするところが憎らしいんですよね。それは女だけではなく、よくいるアンチみたいな男たちに対してもそう。あいつらなんだかんだSHIROSEさんから認められると嬉しそうだもんな。

だから、SHIROSEさんのガチファンにとってはもしかしたら、落ち込んだ夜に聴く曲も結局シロセさんの作った曲で、それは私ではない誰かを思って作った曲だってことが、たまらなく憎らしいんじゃないかと思う。もしも、私だったらそうなるなぁ。

それにさ、夜10時には「おれ、このあとも君といたいなぁ。やならいって?」とか言ってた男が「俺のタトゥーにキスをして」ってちょっと要求をし出したかと思いきや「俺の目をみて服を脱げ」って、急にめっちゃS!!!人が変わったかのようなSじゃん?こういう男はモテるんだよなぁ。

しかも、先に男から好きなところ10個も言うのは、どう考えてもズルいですよね。恋愛において主導権を握る男は"先攻"を必ず取るんですよ。こういう男はホントにズルい・・・



そして、とっても気になったことがありまして。アルバムの中の『Sex Friend』という曲に「君以外の彼女を抱いて  別の女を抱いて寝る」という歌詞が出てくるんですけど、「男でもそんなことするの?」「男にこの気持ちが分かるの?」と驚いたんです。男性からは絶対に理解されるものじゃないと思っていたから。

特に私なんてビビリなので、好きな人に想いをぶつけて重い女だと思われることが怖いから、他の人と寝たりして、愛を分散させることで余裕を保とうとしてしまう。もしかしたら、そういう曲じゃないのかも知れないけれど、女の難解なソレを理解して作った曲、あるいは私が知らないだけで男性にもある心情なの!?と未だにあの曲を気になり続けています。

ちなみに私が一番今回のアルバムの中で好きだったフレーズというか、深く頷いてしまったフレーズは「君の不幸なニュースを見て胸が痛くてでも好きとかない」でした。私も過去に愛した人に嫌なことが起きたと知るとすごく胸が痛くなる。この時に二つの辛さを感じる。

一つ目は純粋に愛した人が深く傷付いているんじゃないかと心配になるし、傷付いた時の相手の姿を過去に見たことがあったり、そんなに強くないことも知っているからこそ来る辛さ。二つ目は心配しながらもどこかどうでもいいというか、何かしてあげようと動けない辛さ。自分が相手と他人になっていることを思い知らされる。すごく大切な人でなるべく幸せを願っているはずなのに、どこかもうどうでもいいという自分の冷たさと愛の終わりに気付く辛さ。終わったんだなと感じる。まさにモノクロ。そんな辛さをSHIROSEさんはあのフレーズに詰め込んでくれた。私は勝手に気持ちが分かるような気がした。


そして、先ほどの話に戻るのですが、冒頭で私はSHIROSEさんのアニ文字や『こっちおいで』などを「え、なにしてんの!?」と思ってしまったと書きました。だって、すでにこれまで『ウソツキ』や『あいのデータ』などといったヒット曲や、性的な部分をあまり出さないこれまでのSHIROSEさんのアーティスト性がもう十分評価されているのに、そんなリスキーかつ余計とも思えるようなことをわざわざしなくていいじゃないですか。

だけどね、私はそんな博打を打てるSHIROSEさんを本当にとても尊敬しています。

私の知る限り、もう1年以上も「おはよう」を続けているSHIROSEさん。マメすぎるし、毎日、そういう意味なんて分からない、意味なんてないように思えることを、とにかくひたすら続けていくことで意味が出来てくるんだなと思ったり。

これは想像なんですけど、『Tatoo』のMVを全世界へ公開するとき、本当は少し怖い部分もあったんじゃないかと私は思っているんです。だって、自分の世界が変わる瞬間を迎えるのって普通に怖いじゃないですか。ましてや、これまで十分に評価されてきた人なんだから、変化を恐れるのが当然。現状を維持したまま上に上り詰めたいのが当然。ご時世的にも、こんなに攻め攻めの音楽を出し続けられる人なんて他にいるのだろうか?本当にこの人は自分の人生にいつもとんでもない変化を起こす。そして、それが結果的に多くの人へチカラをくれている。私もチカラをもらっている1人です。あなたの大胆不敵すぎる行動と、そこにかける準備の丁寧さにやられてしまう。きっと私たちこそあなたのCHUDOKUです。

改めて、アルバムリリースおめでとうございます。

SHIROSE 1st Album
『彼女にしか見せないタトゥー』(配信リンク)