これからとても面倒な話をするのですが、「優しさ」ってあまりに難しすぎるものだと思うんです。
例えば、身近な人に「風邪を引いている」という報告をした際に、こまめに「体調どう？」「ちゃんとご飯食べてる？」といった連絡が来ることを優しいと感じる人もいれば、あまり連絡などはせずに見守ってくれる方が優しいと感じる人もいますよね。これは風邪だけに限らず、失恋やなにか失敗をした際などもそうだと思います。
ちなみに私は前者の方が優しいと感じるタイプの人間ですが、かといって後者を優しくないと感じるわけではありません。でも、自分が人に対して優しくしたいと思った時に、"相手にとっては何が最良なのか"が私はいつも気になってしまうんです。
よく「相手の立場に立って考えろ」なんて言うけれど、結局それによって得られる答えは"相手の立場に立って考えた自分の考え"でしかないから、相手にとっての最良とはまた違うじゃないですか。
ね、面倒くさい話でしょ？
私はこんな面倒くさい話をごく一部の親しい友人には昼夜問わずしてしまうので、迷惑がられることが多々あるのですが、そんなことお構いなしに先日もまさにこの「優しさ」についての話を友人にしたんです。
そしたら、「相手にとって最良の優しさかどうかはたしかに分からないよね。それは相手にしか分からない。でも、一度相手の立場に立って考えることによって、たとえそれが間違っていたとしても、せのゆう(妹尾ユウカの略)が相手にとって優しくありたいという思いから行った行為であることや、優しくしたいという思い自体は伝わると思うよ」と言われたんです。
私はこの友人の言葉がとてもしっくり来ました。たしかにそうだと思います。10代の頃、私がダイエットをしていることを知っているにも関わらず、母が夕飯をたんまりと出してきた時、当時の私にとってはありがた迷惑に近いものがありましたが、母の優しさや思いやりであることは伝わっていました。
だから、"相手の立場に立って考える"ということはやっぱり大切なんだと思います。それは優しくする側の人間も、される側の人間も。する側の人間は相手の立場に立って考えることによって、それが相手にとっての最良ではなかったとしても、先程の友人の言う通り、思い自体は伝わるはずです。そして、される側の人間も自分の求める最良ではない優しさを与えられたとしても、相手の立場に立って考えることによって、「相手はきっとこういう思いで優しくしようとしてくれたんだ」と理解することができると思います。
それにしても長々と面倒な話をしてきましたが、この私の中での「優しさ」に対する答えを出してくれた友人は、1-SHINE(イシン)という売れていないバンドでドラマーをしているしんちゃんという人でした。
(48秒〜54秒あたりで出てくる髭面のヤツ)
以前、よく遊ぶメンバーで出かけた際に、みんなで車で朝マックを食べたのですが、私が食べていたハンバーガーが床に落ちてしまったのを見て、彼は自分の食べていた歯型ギッシリのハンバーガーを無言で差し出してくれました。
あの時、私は咄嗟に「いや、汚ねぇ！」という言葉を発してしまいましたが、あなたの優しさは伝わっていました。最良だったかと言われるとそれはちょっとアレですが、たしかに優しさは伝わってましたよ。ありがとう！