沖縄本島からナガンヌ島という綺麗な無人島へと向かう船着場での出来事。


この船着場には赤いサビたスタンド式灰皿が1つ用意してあり、そこでずっとタバコを吸っている一人の爺さんがいた。


その爺さんは"息するようにタバコを吸う"という表現が比喩表現にならないほど、マジでずっとタバコを吸っていた。しかも、銘柄はハイライト。


当時、ゴリゴリの喫煙者だった私は爺さんに並んでタバコを吸うことにした。


すると、「アンタいい女だねぇ〜」とすぐに爺さんが声をかけてきた。


「ありがとう(笑)」

「いや〜、参ったよ!初恋の女にそっくりだ!」

「そうなの?」

「笑っちゃうぐらいにそっくりだよ!ハハー!」


内心、「また厄介なのに絡まれたな・・・」と思いながらも、私は爺さんと会話を続けた。



ハッキリ言って、爺さんはめちゃくちゃ惚れ惚れとした顔をしていた。ナガンヌ島よりも美しいものを見る目で私のことを見つめていた。



ごめん、最後のはちょっと盛った。



15分ほど世間話やちょっとした身の上話をしていたら、乗船時刻が近づいて来たので、私はタバコの火を消し、爺さんに「またね!」と手を振った。


すると、爺さんは最後に一言つぶやいた。



「初めてハイライトを吸った時はねぇ〜、あまりに胸が苦しくてねぇ〜、『これが恋か』と思ったっけなぁ〜」



・・・なんの話?


と言いたいところだったが、ハイライトを吸う度に爺さんが"恋心"を思い出していると思うと、なんだか可愛く思えてしまった。


でもね、この先ハイライトを吸っていて、もしも胸が苦しくなったら、それは恋じゃなくて病気だからくれぐれも気をつけて下さいね。


それじゃ、お元気で。