「テメェ歌舞伎に二度と来んなよ!」


これは親友のマリちゃんが元彼に対して、町田で叫んでいたセリフ。「お前は歌舞伎町のなんなんだ?」と問いたくなるが、彼女は歌舞伎町のキャバ嬢で、茨城出身のクセに異常なほどの歌舞伎愛を持って生きているギャル。顔はたしかに美人なんだけど、ゴミみたいな男ばかりを捕まえてくるので、内輪では"ゴミ収集車"と呼ばれている。




去年、そんなマリちゃんから「コイツ携帯壊す気?」と思うほどの着信履歴が入っていたので、すぐにかけなおしてみると、第一声目に「クソキメェんだけど!」と叫ばれた。




ー以下、喋り方がギャル過ぎてイライラする可能性がございますがどうかお付き合いください。




「・・・どうしたの?」

「聞いて〜。あのね、今日オカマバーに行ってきたの〜」

「うんうん」

「そんでね、Kくん(マリちゃんが過去一好きだった彼氏)の話をオカマに惚気てたのね」

「うんうん」

「そしたらさ、オカマに『写真見せて』って言われたから、フツーに見せたの」

「うんうん」

「そしたら、オカマに『バカにしてるの〜?私も彼大好き〜!』って言われてさ、なに言ってんだこのオカマと思って、『どゆこと〜?』って聞いたのね」

「ほう」

「そしたらさぁ、『え?アンタ本当に彼と付き合ってんの?』って聞かれて、『え、付き合ってるよ〜』って普通に言ったの」

「ほう」

「そしたらさぁ、『もしかして、彼のことアンタ何も知らないの?』って聞かれたから『ん?どゆこと?』って聞いたのよ」

「うんうん」

「そしたらね、『彼、かなり有名なゲイ男優よ〜!◯◯(男優名)で調べてごらん』って言われてさ、調べたら本当にKくんがケツ丸出しの画像がトップに出てきたの」

「!?!?!?」

「マジで見てこれ」


そう言って、マリちゃんからKくんが男と濃厚接触している写真がボンボコボンボコ送られてきた。


「・・・キッツ」

「マジでヤバくない?しかもさ、男に入れられる側なら1万歩譲って許せるけど、入れる側やってんだよ?」

「いや、そこ重要?」

「重要でしょ。だって、男のケツに入れたチンチンをアタシは舐めてきたことになるからね!!!

「たしかにそうだな」

「キメェなぁ!!!!」


この事件の直後、マリちゃんはKくんに理由を告げることなくあっさり別れた。



そして、先日、またマリちゃんから電話がかかってきた。


「聞いて〜!!」

「どうしたの?」

Kくんが結婚した(笑)」

「え!?誰と!?女?」

「うん、さすがに女だった」

「てことは、Kくんはバイか商業的なゲイだったのかな?」

「知らねー。でも相手がヤベーの」

「そうなの?知ってる子なの?」

「うん。アタシは別に友達じゃないんだけど、茨城で一番マンコ臭くて有名な女

「・・・」

Kくんってさ、慢性鼻炎で一生鼻詰まってるから分かんないんだろうね」

「・・・」

「アタシマジで無臭だからね?」

「・・・」

「マジでKくん好きだったなぁ〜」

「可哀想だな・・・」



最後に私が放った「可哀想だな・・・」という言葉には、マリちゃんへ対する「ご苦労さん、ご愁傷様」というニュアンスももちろん含まれているが、"茨城で一番マンコが臭い"という異名を持つ花嫁に対する「可哀想だな・・・」でもある。


そもそも、"茨城で一番マンコ臭くて有名"というのは、どういう調査結果なのか。茨城には認証バッジを付けた専門のソムリエがいて、年がら年中嗅ぎまわっているのだろうか。


それと、最後の「アタシマジで無臭だからね?」に関しては、お前はなにを張り合ってんだ。無臭ならばコンテストにおいても、結婚においても、マリちゃんは敗者ということになるぞ。



・・・一体、なんの話をしているのかよく分からなくなってきたが、茨城県大会の優勝者、それと結婚するKくん、そして、無臭のゴミ収集車。


全員の未来にご多幸お祈りします。