山鉾の進む大路や蝉しぐれ
( やまほこの すすむおおじや せみしぐれ )
 

今日の午前中、ここ京都では、日本三大祭りの一つである祇園祭(ぎおんまつり)の山鉾(やまほこ)巡行が行われた。

<<日本三大祭>> 神田祭(かんだまつり:東京都)、祇園祭(ぎおんまつり:京都府)、天神祭(てんじんまつり:大阪府)



毎年見ているので、今年はどうするか迷ったが、幸いにも雨が降っていなかったので行くことにした。いつも見る場所は決まっていて、市役所前の四つ辻。こちらでは、見どころの一つである辻回しがよく見える。
*辻回し:交差点で高さ約25m、重さ10tを超える鉾を直角に方向転換させること。



現場に到着しのは10時過ぎだったが、沿道には観光客が幾重に重なり並んでいた。常に先頭を進む長刀鉾(なぎなたぼこ)の大きな姿が見えると拍手が起こり、交差点中央で辻回しが行われると大きな喚声が沸き起こった。



その様子を見た後、都大路を西に向かって進む山鉾を追っていくと、数日前から鳴きだした蝉の声が姦しく聞こえてきた。それが、祇園ばやしと重なって、夏本番のイベントを盛り上げた。



本日の掲句は、そんな様子を見て詠んだ句である。尚、「山鉾」は祇園祭の関連で夏の季語になっているが、「蝉しぐれ」も夏の季語なので本句は季重なり。
*蝉時雨(せみしぐれ):多くの蝉が一斉に鳴きたてる声を時雨(しぐれ)の降る音に見立てた語。



因みに、山鉾巡行に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】
① ビル街に山鉾戻るコンチキチン
② 山鉾やビルの谷風心地よき
③ 山鉾やきしむ車輪に重みあり




①は、コロナ禍で中断されていた山鉾巡行が、三年ぶりに戻ってきたことを嬉しく思い詠んだ句。(2022年作)
②は、ビルの谷間に時折吹く涼しい風に、頭を揺らしながら進む鉾を見て詠んだ句。
③は、山鉾の車輪の軋みに重みを感じて詠んだもの。山鉾の重さは10トン超になるとのことだが、その重みと歴史の重みを重ねて詠んでみた。



ところで、京都に住んでいない人には、意外と知られていないことだが、祇園祭は、7月1日から1か月間にわたって行われる長い祭である。この祭は、京都市東山区の八坂神社(祇園社)の祭礼で、祭行事は八坂神社が主催するものと、山鉾町が主催するものに大別される。


 

一般的には山鉾町が主催する行事が「祇園祭」と認識されることが多く、そのハイライトは、よく知られている「山鉾巡行」で、2014年より、49年ぶりに、「前祭(さきまつり)」と「後祭(あとまつり)」に別れて実施された。



一方、八坂神社主催の神事は 「神輿渡御」が著名で、以前本ブログでも取り上げた「神幸祭」(7月17日)や「還幸祭」(7月24日)などは、これにあたる。また「花傘連合会」が主催する「花傘巡行」(7月24日)も八坂神社側の行事である。


 

祇園祭に関して詠まれた句は非常に多いが、今回も記事が長くなったので参考句の掲載は割愛する。