街角の華燭の花よ凌霄花
( まちかどの かしょくのはなよ のうぜんか )


昨日に続き、今日も橙(朱)色の花をつける植物「凌霄花(のうぜんかずら)」を取り上げたい。この花木は蔓性の植物で、近くの木や塀などに絡まりながら枝を伸ばし、シャンデリアのように花を垂らす。



本日の掲句は、それを「華燭(かしょく)」に喩え詠んだ句である。「華燭」というのは、文字通り「華やかなともし火」のこと。「凌霄花」は「のうぜん花(か)」「のうぜんの花」「のうぜん」ともいい夏の季語。



ところで、昨日取り上げた「鬼百合(おにゆり)」もそうだが、「凌霄花」についても、これまで10数句詠んであり、いろいろ考えても似たような句しか思い浮かばない。



そこで、そういう場合には、過去に詠んだ句で比較的に好むものを取り上げることにした。実のところ本日の掲句も、今から11年前に詠んだ句である。



ここで使った「華燭」は、花の色と形からの連想により使った言葉だが、「結婚の席にともす灯」の意味で使われることが多いらしい。また、「華燭の典(式)」といえば結婚式ことをいうそうだ、



尚、「凌霄花」の花を「華燭」に喩えた句は、その他にも幾つか読んている。

華麗なる華燭の花よ凌霄花
ひと時の華燭に酔えば凌霄花




それ以外では、以下の句を詠んでいる。*「凌霄花」は「のうぜんか」もしくは「のうぜんかずら」と読む。

【関連句】
① 絡まりて天をうかがう凌霄花
② のうぜんの花なだれ落つ白き家
③ 華麗なるシャンデリアかな凌霄花




①は、高木などに絡まりながらどこまでも上を目指す、「凌霄花」の逞しさを詠んだ句。
②は、白い洋風の家のベランダから、なだれ落ちるように咲いている様子を詠んだ句。
③は、花の咲く様子をシャンデリアに喩えて詠んだもの。



「凌霄花」は、ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の落葉つる性落葉樹。原産地は中国。平安時代に日本に渡来したといわれている。花期は6月~9月。

名前の「のうぜん」は、漢名の「凌霄」の読み「のうせう、のせう」が「のうぜん」に転訛したもの。「かずら」は、蔓性の植物を表す。

 

漢名の「凌」に「しのぐ」、「霄」には「空の果て」の意味があり、空に向かって高く咲く花ということで付けられたとのこと。


今回も記事が長くなったので、参考句の掲載は割愛したい。