蓮の花咲ける池畔に牛蛙
( はすのはな さけるちはんに うしかえる )

 
ご存じの方も多いと思うが、先週の土曜日7月6日は、二十四節気の小暑(しょうしょ)で、梅雨明けが近付き、暑さが本格的になる頃といわれている。また、期間として7月22日の大暑(たいしょ)の前日までをいう。



この頃に咲く花として、よく取り上げられるのが「蓮(はす)」だが、先日行った植物園の「はす池」でも多くの「蓮」が開花していた。

早速、その様子を写真に撮っていると、どこからかバスーン(ファゴット)のようなボーボーという低い音が聞こえてきた。この池に生息する「牛蛙(うしがえる)」の鳴き声である。



本日の掲句は、その様子を詠んだ句だが、声はすれども姿は確認できなかった。

尚、「蓮の花」が夏の季語であることは間違いないが、「牛蛙」はどうなのか。ネットで調べた限りでは、通常の「蛙」と同列で春の季語にするところもあれば、「蟇蛙(ひきがえる)」「雨蛙」などとともに夏の季語とするところもある。いずれにしろ季重なりになる。



ところで、牛蛙の鳴き声やバスーン(ファゴット)の音を聞いたことがない人には、どれだけ似ているのかイメージしにくいと思う。興味のある方は、以下のサイトにアクセスし、確認していただきたい。(文字部分をクリックする。)

《牛蛙の鳴き声》 

 
《バスーンで「崖の上のポニョ」》




尚、「蓮」は花だけでなく、果実や根、大きな葉の変化も注目されるが、その変化を、数年前に「蓮池盛衰記」としてまとめた。興味のある方は、以下をクリックしてご覧いただきたい。(見飽きたという人はパス)


「蓮池盛衰記」 ← クリック

 



因みに、「蓮の花」「蓮華」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】
① 蓮池の蓮咲き初めし五六輪
② 整いし紅蓮一花に瞠目す 

*紅蓮一花(ぐれんいっか)
③ 皓皓と葉叢に浮かぶ蓮華かな



①は、7月の初めに植物園の蓮池を訪れた時に詠んだ句。この時は、まだ五六輪しか咲いていなかった。
②は、蓮池にしっかりと整った花を咲かせている「紅の蓮」=紅蓮(ぐれん)を見て詠んだ句。「紅蓮」は「べにはす」「べにはちす」とも読む。

*瞠目(どうもく):(感心して)目をみはること。
③は、緑の雲海=葉叢(はむら)の中に白く浮かぶように「蓮華(れんげ)」=「蓮の花」が咲いているというのが大凡の句意。

*皓皓(こうこう): しろじろと明るい様子。



「蓮」は、ハス科ハス属の多年性水生植物で、原産地はインド。(エジプト、中国という説もある。)現在、様々な品種があるが、大きくは紅色・白色の花を咲かせる東洋産種と、黄色の花を咲かせるアメリカ産種の2種類に分かれるそうだ。



花期は7月~8月。花は開閉を繰り返し、おおむね4日間咲く。1日目は半開まで、2日目は全開、3日目は最大に開き、4日目は朝から散り始め、午後には完全に散る。最も美しいのは2日目だそうだ。

「はす」の名は、花托(かたく)が、蜂の巣に似ているところから、「蜂巣(はちす)」と呼ばれ、それが転訛して「はす」になったと言われている。


「蓮の花」を詠んだ句は非常に多く、これまで20句以上本ブログでも紹介した。今回は記事が長くなったこともあり、新たな参考句の掲載は割愛する。