曇天に向き定まらぬ向日葵や
( どんてんに むきさだまらぬ ひまわりや )


先週の土曜日は、例により、2週間ぶりに植物園に行ってきた。前回と違って、今回特に目を引いたのは「向日葵(ひまわり)」である。正面入口や中庭など何か所かに植えてあり、大きな花を咲かせていた。

 



ただ、陽に向かって咲くといわれる花が、曇天のためか向きがバラバラになっている感じがした、本日の掲句は、そんな様子を見て詠んだ句である。「向日葵」は、いうまでもなく夏の季語。



実のところ、かつて晴天の日に見た時は、花が全て東向きに咲いていて、そのことを以下のように詠んだ。

向日葵やみんな揃うて東向き



因みに、「向日葵」に関しては、他にも以下の句を詠んでいる。

【関連句】
① 向日葵は大昔より太陽光
② 太陽に向かえば向日葵王の如し
③ 雨長くお疲れぎみの向日葵君




①は、東日本大震災の後、原発に代わるものとして話題になった太陽光エネルギーにかけて詠んだ句。
②は、太陽に向かって堂々と咲いている花の姿を詠んだもの。下五の「王の如し」は、中村草田男の「手の薔薇に蜂来れば我王の如し 」の表現に倣った。
③は、数年前に詠んだ句で、この年は例年より早く梅雨入りしたが、なかなか梅雨明けにならず、何日も続いた雨で項(うな)垂れている花が多かった。



「向日葵」は、キク科ヒマワリ属の一年草。原産地は北アメリカ。16世紀にイギリスに伝わり「太陽の花」と呼ばれ、日本には17世紀に渡来したとのこと。花期は7月~9月。



「向日葵」と言えば、大概、背の高い大型のものを思い浮かべるが、最近は矮性のものや色形も様々なものが多く見られるようになった。植物園には、約30品種500株ほど植えられているとのこと。



名前は、既述の通り、太陽の動きにつれて花が回るということからついたようだが、この動きは生長が盛んな若い時期だけだそうだ。そして、朝に咲き始めた花は東向き、夕方に咲き始めたものは西向きとなり、その後向きが変わることはないとのこと。(但し、植わっている場所の環境にも影響される。)

 



尚、漢字の「向日葵」は漢名から。 別名 に「日車草(ひぐるまそう)」 「日輪草(にちりんそう)」などがある。

「向日葵」は夏を代表する草花だけに、詠まれた句は非常に多いが、記事が長くなったので参考句は割愛する。