半夏生心うつろに半化粧
( はんげしょう こころうつろに はんけしょう )


本日7月1は、七十二候(しちじゅうにこう)の1つ「半夏生(はんげしょう)」にあたる日である。かつて、夏至から数えて11日目としていたが、現在は天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日となっている。

*七十二候:二十四節気(にじゅうしせっき)をさらに約5日ずつの3つに分けたもの。



また、日本独自に設定された雑節(ざっせつ)の一つで、農家にとっては大事な節目の日であり、「畑仕事を終える」「水稲の田植えを終える」などの目安となっており、この日から5日間は休みとする地方もあるそうだ。

また、日本各地には、いろいろな風習があって、近畿地方の一部地域ではタコを食べる習慣がある。それに便乗し、たこ焼きやタコ入りお好み焼き、焼きそばなどの販売促進キャンペーンもなされているときく。



ところで、この時期に合わせて花を咲かすことから「半夏生」と名付けられた植物がある。面白いことに、花そのものは非常に貧相なのだが、虫を呼び込むためなのか、周辺の葉がスプレーで白いペンキを吹きかけられたように変色する。



それがまた、満遍なく白くなるのではなく、葉の一部分だけが中途半端にに白くなっているものがほとんどである。そんなことから、敢えて「半化粧」と呼称・表記されることがある。



本日の掲句は、そんなことを念頭に詠んだ句だが、上五の「半夏生」は七十二候(雑節)の暦日をさし、下五の「半化粧」は植物の「半夏生」をさす。

尚、七十二候の「半夏生」も、植物の「半夏生(半化粧)」も夏の季語。



因みに、「半夏生」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】
① ペンキでも噴霧されたか半夏生
② 小夜更けて灯りに浮かぶ半夏生
③ 舞妓らのうなじ艶めく半化粧




①は、葉の一部分がまるで白いペンキが噴霧されたように白くなっていることに注目して詠んだ句。
②は、小夜(さよ)が更けて、外灯に照らされて白く浮かぶ「半夏生」の葉をイメージして詠んだもの。
③は、葉の一部が白くなっている様が、何となく舞妓さんの項(うなじ)に似ていると思い詠んだ句。



「半夏生」は、ドクダミ科ハンゲショウ属の多年草。花期は6月~8月で穂状の白い花を咲かす。ただ、あまり目立たないので、虫を誘うためか一時的に葉が白くなる。面白いことに花期が終わると葉の色は元の緑色になる。別名に「片白草(かたしろぐさ)」などがある。



「半夏生」を詠んだ句は結構ある。その中から特に、植物の「半夏生」「半化粧」を詠んだと思われるものを選んで以下に掲載した。


【半夏生、半化粧の参考句】
含み吐く旅籠の水や半夏生 /長谷川かな女 
半夏生叔母の離れはその奥に /星野椿
半夏生厠きれいな小半日 /中山純子
夕かけて日ざしそろひぬ半夏生 /岡井省二
夕虹に心洗はれ半夏生 /八島英子