夏日さす白蝶草に消ゆる蝶
( なつびさす はくちょうそうに きゆるちょう )  
*原句一部修正

昨日取り上げた「風蝶草(ふうちょうそう)」には、名前に「蝶」が付いているが、他にも「白蝶草(はくちょうそう)」という「蝶」の付く草花がある。この草花も公園などの花壇でよく見かけるが、野生化して野原に咲いているものも時々見かける。


 

花の色は、基本種が白色で紅色のものもある。端正な四弁花だが。遠くから見ると、名前の通り、白い蝶が群れているように見える。

面白いことに、この草花に吸蜜にくるのは、ほとんどが「紋白蝶(もんしろちょう)」なので、群落に入ると見分けが付かなくなる。



前書きが長くなったが、本日の掲句は、夏日がさす「白蝶草」の群落に一頭(匹)の白い蝶が紛れて消えたことを詠んだもの。

*夏日(なつび):夏の強い日ざし。また、夏の暑い日。


 

当初は、以下のように詠んでいたが、「白蝶草」は季語になっていないので無季になる。そこで、夏の季語「夏日」を入れて掲句のように詠み直した。

*単独で「蝶」は春の季語だが、ここでは考慮に入れない。

 

蝶一頭紛れて消ゆる白蝶草



ところで、下の写真の中に紋白蝶が一匹紛れ込んでいる。さて、どこにいるか分かるだろうか。拡大もできるので捜してみて欲しい。


*蝶が紛れこんでいる

 

因みに、白蝶草に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。但し、「白蝶草」が季語でないので、別の季語を入れている。

【関連句】
① 白蝶草群れ咲く丘に夏の蝶
② 涼風や右に左に白蝶草 
③ 秋風の吹くに任せて白蝶草




①は、植物園にある小高い丘に「白蝶草」が群生していて、蝶が何匹(頭)か吸蜜に来ているのを見て詠ん詠んだ句。季語は「夏の蝶」(夏)。
②は、「白蝶草」が時折吹く風に右に左にと一斉に揺れる様子を詠んだもの。季語は「涼風(すずかぜ)」(夏)
③は、「白蝶草」が同じ場所で、秋になっても花を咲かせているのを見て詠んだ句。季語は「秋風」(秋)。



白蝶草はアカバナ科ガウラ(ヤマモモソウ)属の多年草。北アメリカ原産。日本へは明治時代の中期に渡来したそうだ。



花期は5月~10月と長い。細長い茎の先端に2~3cm程の白い4弁の花を咲かせる。園芸品種には、花色がピンクや赤のものもある。別名に、「山桃草(やまももそう)」「ガウラ」がある。

季語になっていないせいもあり、「白蝶草」を詠んだ句はほとんどないので、参考句の掲載は割愛する。

 

*赤花の白蝶草