松葉菊見て思いだす揚花火
( まつばきく みておもいだす あげはなび )


今日は最高気温が30℃を超えたそうだが、さすがに暑かった。そんな中、近くのコンビニに買い物に行った時、道端に「松葉菊(まつばぎく)」が群生していて多くの花を咲かせているのを見た。



この花は、直径3~5cmほどで花色はピンク。花びらが菊のように揃っていて、その姿は夜空に打ち上げられた花火を彷彿させる。



本日の掲句は、「松葉菊」の花を見て、昨年、秋田県大仙市の「大曲(おおまがり)の花火」を見に行った時のことを思い出しつつ詠んだ句である。下五の「揚花火(あげはなび)」は打ち上げ花火のこと。「松葉菊」は夏の季語。

*「揚花火」は「花火」と同様に、秋の季語だが、本句では考慮に入れない。




因みに、「松葉菊」に関しては 過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】
① 松葉菊造花と違う光あり 

*違う(たがう)
② 連発の花火のごとく松葉菊
③ 松葉菊今年は花火お流れに

 

 

①は、「松葉菊」の第一印象を詠んだ句。光が当たると花弁が反射し輝くが、その様子は樹脂で作られた造花の輝きとは微妙に違い生気を感じる。
②は、近くのコンビニの駐輪場に群れ咲いているのを見て詠んだ句。ふと放浪の画家山下清の花火の絵を思い出した。
③は、コロナ禍が広がり始めた2020年の夏に詠んだ句。この年は、様々なイベントが中止となり、京都でも、祇園祭の山鉾巡行が中止になった。



「松葉菊」は、ツルナ科マツバギク(ランプランサス)属の常緑多肉植物。南アフリカ原産で砂漠などで自生する。名に「菊」がつくがキク科の花ではない。日本には明治時代に渡来。



花期は4月初旬から8月末頃までと長く断続的に咲く。花の色は、赤紫の他に、白や橙のものもある。花は日中だけ開いて夜は閉じる。


 

花名は、葉が松の葉のように細長く、花は菊に似ていることから付けられた。葉が多肉質で「仙人掌(さぼてん)」の葉に似ているので、別名に「仙人掌菊(さぼてんぎく)」がある。

*白花の松葉菊

 

「松葉菊」を詠んだ句は何故かあまりないが、以下にはネットで見つけた句をいくつか参考まで掲載した。(再掲あり)


【松葉菊の参考句】
白日を降る雨細し松葉菊 (岡本圭岳)
松葉菊血縁濃ゆき蜑の町 (福川悠子)

*蜑(あま)=海女
石垣に咲くや下田の松葉菊(阿部しょう人)
漁家毎に松葉菊咲き城ケ島(江川一句)
浜の床屋の鏡の中に松葉菊 (滝春一)