かたばみや紫の君に芋姉さん
(かたばみや むらさきのきみに いもねえさん)


近くの疏水べりは、今夏草で覆われているが、沿道の草むらで時々見かけるのが、今日取り上げる「かたばみ」である。名前は、「葉が、何かに食べられたように欠けていること」に由来し、漢字では「片喰み」と書く。(異説あり)


*かたばみ

 

しかし、全体に蓚酸(しゅうさん)を含み、酸味があることから中国名の「酢漿草」が当てられることが多い。
*漢字が難解なので以下では「かたばみ」と表記する。

*かたばみ

 

ところで、「かたばみ」といえば、通常は黄色の小さな花を付ける在来種のものを指すが、最近は外来種の「紫かたばみ」や「芋かたばみ」も多く見かける。

これらは、在来種よりも花が大きく、色も明るい紫色ないしはピンク色で、非常に目立つ。


*紫かたばみ (中心が緑色)

 

*芋かたばみ (中心が赤色)

 

本日の掲句は、そんな様子を見て詠んだ句である。「紫の君」は「紫かたばみ」のことで比較的上品な感じがする。「芋姉さん」は「芋かたばみ」のことで、いささか派手好みな感じがする。
*「芋かたばみ」の「芋」は、花のイメージでなく、芋のような塊茎によって増えることからつけられた。念のため。

*紫かたばみ

 

尚、「かたばみ」の花は、夏の季語になっているが、「紫かたばみ」「芋かたばみ」は、季語にはなっていないようだ。ただ、夏場に咲くので、夏の季語に準じるものとして扱っている。

*紫かたばみ

 

ところで、上記の植物は、いずれもカタバミ科の「カタバミ属」に分類されるが、学名では「オキザリス(Oxalis)属」と呼ばれる。

近辺でもよく見かけるのもを整理すると以下のようになる。

 

カタバミ(オキザリス)属
 
(在来種)  
●かたばみ  
  ・基本種 黄色の花。葉は緑。
  ・赤かたばみ 黄色の花。葉が赤い。
  ・立かたばみ 黄色の花。茎が立つ。
     
(外来種)  
●芋かたばみ 濃い赤紫色の花。
●紫かたばみ 薄い紫色の花
●三角かたばみ 葉が三角形。薄紫の花
●その他  
*特に春に咲くものをオキザリスという


*芋かたばみ

 

因みに、これらについては、過去に以下の句を詠んでいる。

【かたばみ】
かたばみや地味に頑張る在来種

【芋かたばみ】
芋かたばみ花壇に咲けばそれなりに

【紫かたばみ】
雨あがり路傍の石に紫かたばみ


*芋かたばみ

 

「かたばみ」を詠んだ句は多いが、記事が長くなったので参考句の掲載は割愛する。

*三角かたばみ (葉が三角形)