千年の祈り緑雨の摩崖仏
( せんねんの いのり りょくうの まがいぶつ )


今週の月曜日から大分県国東(くにさき)半島を巡る二泊三日のツアーに参加した。とは言っても、2023年より就航の「さんふらわあ」に乗船し、大阪南港と別府を夜に往復した。



したがって、船内での宿泊が二日で、観光は二日目の朝から夕方までの一日間だけ。午前中は、「宇佐神宮」「富貴寺」「真木大堂」「両子寺」を訪れたが、雨がかなり降っていたこともあり、ゆっくりと見ることができなかった。



昼からは、雨も小降りになったきて、まず「臼杵石仏(うすきせきぶつ)」を見学したが、その大きさと多さに圧倒された。それらの石仏は、大きな自然の岩壁や露岩、あるいは転石などを彫刻し造立されたものである。



平安時代後期から鎌倉時代にかけて彫刻されたと言われているが、誰がどのような目的で造営したのか、はっきりとしたことは分かっておらず、今なお多くの謎に包まれている。



本日の掲句は、雨がぽつぽつと降る中、それらの石仏を見ながら詠んだ句である。石仏についてはほとん知識がないが、千年もの長い間、深い森中で祈り続けてきたことを思うと、少しばかり目頭が熱くなった。



【臼杵石仏】
◎臼杵石仏(うすきせきぶつ)は、大分県臼杵市にある磨崖仏。1952年(昭和27年)に国の特別史跡に指定され、1995年(平成7年)には、磨崖仏として日本初、彫刻として九州初の国宝に指定された。
◎最初の指定員数は本指定が27躯、附(つけたり)指定が32躯、計59躯。その後2躯が追加された。
 

 

尚、掲句を詠むに当って。当初以下の句を詠んだ。

千年の祈り尊き摩崖仏

だた季語がないので、掲句では夏の季語「緑雨(りょくう)」を中七に置いた。

*緑雨:新緑の季節に降る雨。



また、松尾芭蕉の「あらたふと青葉若葉の日の光」という句に倣って、以下の句も詠んでみた。

あらとうと緑雨にけぶる摩崖仏 


*「たふと」は現代仮名遣いでは「とうと」。



「摩崖仏」は季語ではないが、俳句には結構詠まれている。以下にはネットで見つけた句をいくつか選んで掲載した。


【摩崖仏の参考句】
夏川をかちわたり見る磨崖仏/五十嵐播水
露けしや磨崖仏にも石廂 /川崎慶子
下闇に並びて仰ぐ磨崖仏 /奈良鹿郎
紅梅や石に沈める磨崖仏 /猪俣千代子
藤棚をくぐりて拝む磨崖仏 /衛藤睦子