名残惜し藤に代わりて黄花藤
( なごりおし ふじにかわりて きばなふじ )


ツアーの三日目(最終日)の午前中は、栃木県足利市の「あしかがフラワーパーク」を訪れた。こちらは、敷地面積で 100,000㎡ あり、「大藤(おおふじ)」がシンボルとなっている。

 

その見ごろは、4月中旬から 5月中旬といわれているが、訪問当日は、そのほとんどが散っていた。その代わりといっては何だが「黄花藤(きばなふじ)」が丁度見ごろを迎えていた。



 

「黄花藤」と聞いて、「藤」の花は、白色と紫色のものしか見てないという人も多いと思うが、実は同じマメ科でも属が違う。すなわち「藤」はフジ属で「黄花藤」はキングサリ属の花木である。


 

花の姿が「藤」に似ており花色が黄色なのでこの名がついた。但し、「藤」のように蔓性ではない。花の姿が鎖のようにも見えるので、「金鎖(きんぐさり)」という別名がある。


 

本日の掲句は、そんな「黄花藤」が、当園のシンボルである「大藤」の名残を惜しむかのように咲いている様子を詠んだもの。

尚、「藤」は春の季語だが、「黄花藤」は季語になっていない。掲句では、その花期から夏の季語に準じるものとして詠んでいる。


 

因みに、「黄花藤」の別名である「金鎖」を使って、過去に以下の一句のみ詠んでいる。

輝きに心縛らる金鎖


 

今から10年も前に詠んだ句だが、黄金の輝きに心までも鎖で縛られ、身動きできない状況なっていることを想像して詠んだ。


 

「黄花藤」こと「金鎖」は、マメ科キングサリ属の落葉低木。原産地はヨーロッパ中南部。明治時代初期に日本に渡来。


 

花期は5~6月。 花は鮮黄色の蝶形花(ちょうけいか)で、房状に咲き、その長さは20cm~30cmくらいになる。全体に有毒のアルカロイドが含まれており、有毒植物とされている。

尚、「黄花藤」「金鎖」に関する句は、ほとんど詠まれていないようなので、参考句は割愛する。



*本記事をもって、花の名所を巡るツアーの記事は終了します。